おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

世界を救う昆虫食その5 コオロギ

現在、昆虫食は世界的に注目されていますが、

最も活躍が期待されるのがコオロギです。

 

将来的に畜産業や水産業の生産量が限界に達する中で、

食糧不足を解決する有効な手段と考えられています。

 

では、食材としてのコオロギの利点は何でしょうか

まず栄養素が非常に豊富であることが挙げられます。

 

コオロギの体重の約20パーセントがタンパク質ですが、

乾燥粉末にしたものは約60パーセントがタンパク質です。

 

タンパク質だけでなく、豊富なミネラルとビタミンも含みます。

キチン質という食物繊維が多いのも特徴です。

 

また、地球環境に優しいことも大きな利点です。

 

たとえばウシやブタの飼育は、大量の飼料を与える必要があり、

食べた飼料を消化する過程でメタンガスを排出します。

 

メタンガスの温室効果は、二酸化炭素の20倍もあります。

畜産由来のメタンガスは地球温暖化の大きな原因となっています。

 

しかしコオロギの飼育には、ウシやブタほど多くのエサが要りません。

排出されるメタンガスもごく微量で済みます。

 

また、草食性のバッタやイナゴと違って、コオロギは雑食性です。

食品ロスで生じた廃棄食品をエサとして再利用することができます。

 

繁殖力も非常に高く、高密度で効率よく飼育できるので、

大規模な施設も不要です。生産コストも抑えられます。

 

何よりも美味しいことが最大の利点です。

 

と言いながら、私はまだコオロギを食べたことがないのですが、

食用昆虫の中で最高の味と評価されているそうです。

 

東南アジアでは、炒めたコオロギや素揚げにしたコオロギが

日常的に露店で売られているそうです。

 

和風に料理するなら、イナゴのように佃煮にしても甘露煮にしても

よく合いそうです。

 

おせち料理の「田作り」の要領で、フライパンでよく炒ってから

味醂と砂糖と醤油を絡めて白ゴマを振っても美味しそうです。

 

風味が小エビなどの甲殻類に近いといわれていますから

三つ葉と一緒にかき揚げにするという手もあります。

 

ちりめんじゃこの代わりにコオロギを使ったコオロギ山椒も

いけるのではないでしょうか。

 

私は毎年、実山椒の季節に大量に買い求め、さっと茹でて

小分けにして冷凍保存しておきます。

 

その実山椒とちりめんじゃこを醤油と日本酒で炒り煮にして、

年間通して、お握りの具やお茶漬けにして食べています。

 

コオロギでも同じように料理できるのではないでしょうか。

他にもコオロギチャーハンやコオロギパスタも考えられます。

 

アメリカでは食用コオロギを粉末にしたものを小麦粉に混ぜて

コオロギクッキーやコオロギパンケーキが作られているそうです。

 

アメリカの人々はたいへん合理的な考え方をするようです。

たしかに虫の姿がなければ食品として受け入れやすいと思います。

 

日本国内でも、食用コオロギの養殖を手掛けるベンチャー企業

増えているそうです。

 

将来的には一般的な食材として、スーパーマーケットの店頭に

生きた食用コオロギが並ぶ日が来るかもしれません。

 

買い物客が、売場でコロコロと鳴くコオロギの鳴き声を聞いて、

「ああ、旨そうな鳴き声だなあ」と思うかもしれません。

 

コオロギを使った料理が一般的に認められる時代が来れば、

いつか私も和風コオロギ料理専門店を出したいと考えています。

 

コオロギの色からどうしてもは地味な料理になると思いますので、

店の名前は「ジミニー・クリケット」にするつもりです。

 

名前の由来は、もちろんディズニー映画「ピノキオ」に登場する

あのジミニー・クリケットです。