おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

フォアグラは虐待の産物か

世界で最も高級とされているレバはフォアグラです。 ガチョウやアヒルの肝臓のことです。 フランス料理ではとくに高級食材として珍重されています。 クリスマスやお祝いの御馳走には欠かすことができません。 キャヴィア、トリュフとともに世界三大珍味とさ…

牛レバ刺しにはもう会えないのか

牛レバ刺しが食品衛生法で禁止されてから10年になります。 現在では、お店で牛レバ刺しを提供することができません。 お肉屋さんでも生食用の牛レバは販売していません。 取り扱っている牛レバはすべて加熱調理用です。 牛レバ刺しはどこで売っているのかと…

スッポンの肝の刺身

スッポンは、高級食材として料亭や専門店で扱われます。 甲羅や爪など、食べられない部位もありますが、 ほとんど捨てるところがありません。 生き血も古くから強壮剤として用いられてきました。 そのままではなく、日本酒と混ぜて飲みます。 それでも生臭み…

肝が美味しい魚といえば

魚の肝は魚卵と同様に栄養価の高い部位です。 脂肪分が多く、濃厚な味が特徴です。 肝が美味しい魚といえば、アンコウが挙げられます。 いわゆる「あん肝」です。 酒蒸しにしてアサツキを散らしてポン酢でいただきます。 奥深い味わいは「海のフォアグラ」と…

鯉の生き胆は万能薬か

鯉は滋養に富み、昔から強壮剤として用いられていました。 とくに生き胆は、病弱な人の薬とされてきました。 宮沢賢治が肺炎のために次第に体が衰弱していったときに 周りの人が心配して、こっそり鯉の生き胆を与えました。 宮沢賢治は、牛乳や鶏卵さえ摂ら…

鯉こくとはどのような料理か

鯉の料理はさまざまなものがあります。 洗いや旨煮や甘露煮や鯉こくです。 洗いや旨煮や甘露煮はだいたい想像がつきますが、 鯉こくとは一体どのような料理なのでしょうか。 鯉こくは鯉の濃漿(こくしょう)のことであり、 濃漿とは濃く仕立てた味噌汁のこと…

イワナを食べると龍になるのか

童話「龍の子太郎」にイワナが出てきます。 火であぶった香ばしい匂いのイワナです。 空腹に耐え切れずに禁断のイワナを食べて 龍の姿になってしまう話が描かれています。 私は子どもの頃に「龍の子太郎」を読んで、 イワナという魚を初めて知りました。 は…

刺身を洗いにするとなぜ美味しいのか

魚の薄切りを冷水に晒した料理を「洗い」といいます。 その名の通り、水でさっと洗って水気を切ります。 魚の余分な脂肪分を落とし、臭みを取る料理法です。 身が引き締まって旨味が強く感じられます。 水分を含んだ肉質には適度な弾力が生まれます。 刺身よ…

アユの洗いは禁断の味

アユの最高の食べ方は、何と言っても塩焼きです。 希代の美食家、北大路魯山人もそれは認めています。 塩焼きにして、うっかり火傷するほど熱いところを ガブッとやるのが香ばしくて最上と言っています。 しかも、鵜飼で獲れたアユが一番とも言っています。 …

鵜飼は伝統か虐待か

鵜飼は飼い馴らしたウを使った漁法です。 昔から伝統的に行われてきました。 長良川の鵜飼はたいへんよく知られています。 成長したアユが川を遡上する時期に行われます。 鵜飼に使われるウは「ウミウ」です。 素早く潜水して魚を捕る能力があります。 そう…

そろそろアユの解禁日

初夏はアユの季節です。 そろそろ解禁日を迎えます。 地域によって差はありますが、 5月から6月にかけて解禁されます。 釣り好きには待ちきれない季節です。 アユは清流に棲む魚です。 川底の藻類を食べています。 そのせいか、西瓜に似た香りがします。 そ…

料理を伝えることの難しさ

料理を教えてほしいと人によく頼まれます。 しかし、自分で料理するのは好きなのですが、 人に料理を教えることがとても下手です。 それは、計量したことがないからです。 たとえば、調味料は小さじ何杯ですかと訊かれても 適量としか答えられません。 茹で…

伽羅蕗の伽羅とは何か

フキ料理の定番に「伽羅(きゃら)蕗」があります。 醤油で濃く味付けるのでエメラルドグリーンではありません。 文字通り伽羅色、つまり濃い飴色をしています。 ところで伽羅とは一体何でしょうか。 伽羅は、東南アジア原産の香木の一種です。 たいへんよい…

信太巻きの信太とは何か

フキは、和食の素材とたいへん相性のよい野菜です。 湯葉、麩、高野豆腐、厚揚げとよく合います。 とくにお揚げを使った「信太巻き」は昔からの定番です。 「信田巻き」とも表記されます。 フキをお揚げで巻いて出汁で炊いた料理です。 しみじみとしたフキの…

フキ料理の美しさ

フキノトウが成長するとフキになります。 今が旬の野菜です。 もともと全国に自生する山菜でしたが、 現在は野菜として栽培されています。 自生種を「野ブキ」「山ブキ」ともいいます。 フキはアクが強く、繊維が多いのが特徴です。 料理する前に下処理しな…

タケノコご飯の美味しさ

四季を通して、私は炊き込みご飯をよく作りますが、 今の季節は、やはりタケノコご飯です。 乳白色のタケノコと醤油に薄く染まったご飯に、 色鮮やかな緑の木の芽が映えます。 そしてタケノコの深い風味と心地よい歯応えと ふくよかなご飯の味わいが調和しま…

タケノコ掘りにはなぜ地下足袋が役に立つのか

タケノコ掘りは楽しいイベントです。 潮干狩りや山菜採りに並ぶ春の楽しみです。 しかし、なかなかの重労働です。 スキやクワやスコップなどの重装備が必要です。 中でも、地下足袋は欠かせません。 なぜでしょうか。 タケノコは成長が早い植物です。 一日に…

タケノコはなぜ米糠で茹でるのか

タケノコは鮮度が命です。 鍋を火にかけてから掘れと言われるほどです。 採れ立てのタケノコは生でも食べられますが、 時間が経つにつれてえぐ味が出てきます。 料理の前に下茹でしなければなりません。 タケノコの皮に切り込みを入れて皮ごと茹でます。 一…

孟宗竹の孟宗とは何か

タケノコの季節になりました。 若竹煮、木の芽和え、土佐煮、タケノコご飯など 季節のタケノコ料理が楽しみです。 タケノコは成長が早い植物です。 一日に数十センチメートルも伸びることもあります。 タケノコを漢字で書くと「筍」です。 「竹かんむり」に…

雷が鳴るとシイタケが生えるのは本当か

シイタケの人工栽培が始まったのは江戸時代です。 豊後の国が起源と伝えられています。 それまでは天然のシイタケを収穫していました。 自然に生えてくるのを待つしかありませんでした。 昔の人は、いつどこにシイタケが生えるか知るために、 何とか情報を得…

シエスタという生活スタイル

「シエスタ」はスペイン語です。 日本語では昼寝と訳されます。 しかし、必ずしも昼寝することばかりではありません。 ゆったりと午後の休憩を取ることを意味します。 スペインだけでなく、南欧に古くから伝わる習慣です。 イタリアやギリシャなどにも残って…

分かち合う喜び

若い頃にイタリアを旅行したことがあります。 バスに揺られて田舎の街をめぐりました。 イタリアの旅を楽しむコツは、焦らないことです。 バスも電車も時間通りに動くことはありません。 どんなに遅れても気にしない心構えが大切です。 それでも驚くことがい…

孤食の寂しさ

「孤食」という言葉があります。 家族がばらばらに食事を取ることです。 一人暮らしであれば仕方のないことですが、 家族が一緒に食事できないことは寂しいことです。 食卓はお腹を満たすだけの場ではありません。 心を満たす大切な場でもあります。 仕事や…

食育の大切さ

子どもの頃、ご飯を残さず食べるように教わりました。 たった一粒のご飯を作るのに一年かかる。 だから大切に食べなさいと。 そこで私は考えました。 たった一粒のご飯を作るのに一年かかるならば、 茶碗一杯のご飯は何年かかるのだろうと。 しかし、一粒で…

味噌作りの楽しさ

昔は各家庭で味噌を作っていました。 いわゆる自家製味噌です。 それぞれの家庭に自慢の味噌がありました。 「手前味噌」という表現があるほどです。 味噌作りは二日がかりの大仕事です。 家族総出で手伝います。 「寒仕込み」という言葉がありますが、 一年…

スローフードはなぜスローなのか

スローフードはファーストフードに対する言葉です。 1986年にイタリアの小さな町で始まりました。 消えゆく伝統的な郷土の食文化を守る運動です。 良質の料理法や美味しさを次の世代に伝えていくために 食材の生産や食品の製造を保護しています。 スローフー…

ホタルイカはなぜ光るのか

春はホタルイカの季節です。 刺身でも茹で上げても美味しい食材です。 富山県のホタルイカが、たいへんよく知られていますが、 じつは、兵庫県の日本海側で多く水揚げされています。 傷みやすいので、昔は地元でのみ消費されていましたが、 流通技術の向上に…

イイダコのイイとは何か

イイダコは春になると旬を迎えるタコです。 産卵を控え、お腹にたくさんの卵を持ちます。 タコの仲間では一番小さい種類です。 醤油と日本酒でさっと煮るのが美味しいです。 茹でて、ショウガ醤油が食べても美味しいです。 春にしか味わえない美味しさです。…

桜鯛とはどんな鯛か

春になると真鯛は産卵のために沿岸にやってきます。 ちょうど桜の花が咲く季節です。 これを「桜鯛」といいます。桜の季節の真鯛のことです。 真鯛に限らず、魚は産卵が近づくと身が肥えて脂が乗ってきます。 桜鯛は、真鯛の中で最も美味しいと言われていま…

桜海老はなぜ桜色なのか

桜海老漁が解禁になりました。 桜の季節は、桜海老の季節でもあります。 桜の花が咲く頃に、桜海老は旬を迎えます。 桜海老は主に静岡県の駿河湾で獲れます。 清水市の由比漁港の名産です。 釜揚げした桜海老や、天日に干した桜海老ばかりでなく、 生の桜海…