おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

なぜ芋煮会が行われる地域は限られるのか

秋の楽しい伝統行事の一つに「芋煮会」があります。 山形県や宮城県などで盛んに行われています。 河川敷に集まって、大きな鍋で里芋を料理する行事です。 他の食材も一緒に煮込んだ「芋煮鍋」を作ります。 地域によって使われる食材や味つけが異なりますが…

ソウルフードはなぜ魂を揺さぶるのか

ソウルフードは、奴隷制の時代にアメリカで生まれました。 アフリカからやって来た人々の伝統料理のことを指します。 ケイジャン料理は代表的なソウルフードです。 主にルイジアナ州で愛されています。 地元の食材を使った庶民的で質素な料理ですが、 玉ネギ…

おむすびとおにぎり

太宰治の小説「斜陽」に、おむすびの話が出てきます。 おむすびがどうして美味しいか知っていますか。 それは、人間の指で握りしめて作るからですよ。 作中の登場人物がそう説明しています。 たしかにその通りだと思います。 群ようこの小説「かもめ食堂」に…

具材を包み込む美味しさと優しさ

餃子や焼売や春巻や小籠包に共通することは何でしょうか。 それは具材を小麦粉の皮で包み込む料理だということです。 一口食べると中から素材の旨みが溢れ出てきます。 美味しさを逃がさない理に適った料理法です。 小麦粉の皮で包み込む料理は中華料理ばか…

なぜ餃子にニンニクを入れるのか

日本で餃子と言えば、ほとんどが焼き餃子ですが、 本場中国の餃子は、水餃子が主流だそうです。 また、日本の餃子にはよくニンニクが使われていますが、 中国の餃子には必ずしも使われるわけではありません。 なぜ日本の餃子にニンニクが入るようになったの…

日本人で初めて餃子を食べた人物は誰か

餃子が日本に伝わったのは江戸時代と考えられています。 明から来日にした朱舜水が伝えたといわれています。 朱舜水は偉大な儒学者であり、日本でも名が知られていました。 手厚く迎えたのは、水戸の徳川光圀公です。 水戸の黄門様として有名な水戸徳川家の…

水餃子はパスタ料理か

中国の食文化圏を大別すると、二つの地域に分けることができます。 小麦を中心とした華北地方と、米を中心とした華中、華南地方です。 寒冷な華北地方では、今でこそ稲作が広く普及していますが、 昔は米がほとんど収穫されず、小麦の栽培が盛んでした。 餃…

ニョッキはなぜ木曜日に食べるのか

ニョッキは、ジャガイモと小麦粉を練った団子状のパスタです。 茹でたジャガイモをつぶして小麦粉を混ぜて練り合わせます。 小さく丸めるときに中心をくぼませた貝殻状にします。 その方がソースによくからむからです。 形が不均一なのはご愛敬です。 イタリ…

ラザニアとラビオリはどちらが先輩か

ラザニアの語源は、古代ローマのラガヌムという料理です。 たいへん古い歴史を持つ料理と考えられます。 ただし、料理方法は現代のラザニアとは異なっていました。 野菜汁と香辛料で小麦粉を練って油で揚げていたようです。 後には、何層かの生地に肉をはさ…

ラビオリの語源は何か

ラビオリはイタリアのショートパスタの一種です。 パスタのこともパスタ料理のことも指します。 二枚のパスタの生地の間に具をはさんで成形します。 正方形が多いのですが、三角形や半月形もあります。 いわばイタリアの手作り餃子といったところでしょうか…

パスタとペーストは同じ語源

パスタはイタリア語で麺類のことを表しますが、 じつは英語のペーストと同じ語源です。 麺類だけでなく、小麦粉を水で練ったものを意味します。 ですから、ケーキやパイのこともパスタと呼びます。 菓子類のことはパスティチェリーアといいます。 フランス語…

手軽で美味しいレバーペースト

レバーを苦手とする人は少なくありません。 味や臭いや食感がその理由だと思います。 レバーはかなり個性の強い食材です。 決して万人向けではありません。 そのため、いかにレバーを美味しく料理するか、 長年にわたって工夫が施されてきました。 その料理…

鶏レバの滋味

フォアグラほど高級食材ではありませんが、 鶏レバも美味しい食材です。しかも安価です。 新鮮な鶏レバが手に入ったとき、私はよく時雨煮を作ります。 甘辛煮とも呼ばれる鶏レバの定番料理です。 美味しく仕上げるコツは下処理にあります。 鶏レバの臭みを取…

フォアグラは虐待の産物か

世界で最も高級とされているレバはフォアグラです。 ガチョウやアヒルの肝臓のことです。 フランス料理ではとくに高級食材として珍重されています。 クリスマスやお祝いの御馳走には欠かすことができません。 キャヴィア、トリュフとともに世界三大珍味とさ…

牛レバ刺しにはもう会えないのか

牛レバ刺しが食品衛生法で禁止されてから10年になります。 現在では、お店で牛レバ刺しを提供することができません。 お肉屋さんでも生食用の牛レバは販売していません。 取り扱っている牛レバはすべて加熱調理用です。 牛レバ刺しはどこで売っているのかと…

スッポンの肝の刺身

スッポンは、高級食材として料亭や専門店で扱われます。 甲羅や爪など、食べられない部位もありますが、 ほとんど捨てるところがありません。 生き血も古くから強壮剤として用いられてきました。 そのままではなく、日本酒と混ぜて飲みます。 それでも生臭み…

肝が美味しい魚といえば

魚の肝は魚卵と同様に栄養価の高い部位です。 脂肪分が多く、濃厚な味が特徴です。 肝が美味しい魚といえば、アンコウが挙げられます。 いわゆる「あん肝」です。 酒蒸しにしてアサツキを散らしてポン酢でいただきます。 奥深い味わいは「海のフォアグラ」と…

鯉の生き胆は万能薬か

鯉は滋養に富み、昔から強壮剤として用いられていました。 とくに生き胆は、病弱な人の薬とされてきました。 宮沢賢治が肺炎のために次第に体が衰弱していったときに 周りの人が心配して、こっそり鯉の生き胆を与えました。 宮沢賢治は、牛乳や鶏卵さえ摂ら…

鯉こくとはどのような料理か

鯉の料理はさまざまなものがあります。 洗いや旨煮や甘露煮や鯉こくです。 洗いや旨煮や甘露煮はだいたい想像がつきますが、 鯉こくとは一体どのような料理なのでしょうか。 鯉こくは鯉の濃漿(こくしょう)のことであり、 濃漿とは濃く仕立てた味噌汁のこと…

イワナを食べると龍になるのか

童話「龍の子太郎」にイワナが出てきます。 火であぶった香ばしい匂いのイワナです。 空腹に耐え切れずに禁断のイワナを食べて 龍の姿になってしまう話が描かれています。 私は子どもの頃に「龍の子太郎」を読んで、 イワナという魚を初めて知りました。 は…

刺身を洗いにするとなぜ美味しいのか

魚の薄切りを冷水に晒した料理を「洗い」といいます。 その名の通り、水でさっと洗って水気を切ります。 魚の余分な脂肪分を落とし、臭みを取る料理法です。 身が引き締まって旨味が強く感じられます。 水分を含んだ肉質には適度な弾力が生まれます。 刺身よ…

アユの洗いは禁断の味

アユの最高の食べ方は、何と言っても塩焼きです。 希代の美食家、北大路魯山人もそれは認めています。 塩焼きにして、うっかり火傷するほど熱いところを ガブッとやるのが香ばしくて最上と言っています。 しかも、鵜飼で獲れたアユが一番とも言っています。 …

鵜飼は伝統か虐待か

鵜飼は飼い馴らしたウを使った漁法です。 昔から伝統的に行われてきました。 長良川の鵜飼はたいへんよく知られています。 成長したアユが川を遡上する時期に行われます。 鵜飼に使われるウは「ウミウ」です。 素早く潜水して魚を捕る能力があります。 そう…

そろそろアユの解禁日

初夏はアユの季節です。 そろそろ解禁日を迎えます。 地域によって差はありますが、 5月から6月にかけて解禁されます。 釣り好きには待ちきれない季節です。 アユは清流に棲む魚です。 川底の藻類を食べています。 そのせいか、西瓜に似た香りがします。 そ…

料理を伝えることの難しさ

料理を教えてほしいと人によく頼まれます。 しかし、自分で料理するのは好きなのですが、 人に料理を教えることがとても下手です。 それは、計量したことがないからです。 たとえば、調味料は小さじ何杯ですかと訊かれても 適量としか答えられません。 茹で…

伽羅蕗の伽羅とは何か

フキ料理の定番に「伽羅(きゃら)蕗」があります。 醤油で濃く味付けるのでエメラルドグリーンではありません。 文字通り伽羅色、つまり濃い飴色をしています。 ところで伽羅とは一体何でしょうか。 伽羅は、東南アジア原産の香木の一種です。 たいへんよい…

信太巻きの信太とは何か

フキは、和食の素材とたいへん相性のよい野菜です。 湯葉、麩、高野豆腐、厚揚げとよく合います。 とくにお揚げを使った「信太巻き」は昔からの定番です。 「信田巻き」とも表記されます。 フキをお揚げで巻いて出汁で炊いた料理です。 しみじみとしたフキの…

フキ料理の美しさ

フキノトウが成長するとフキになります。 今が旬の野菜です。 もともと全国に自生する山菜でしたが、 現在は野菜として栽培されています。 自生種を「野ブキ」「山ブキ」ともいいます。 フキはアクが強く、繊維が多いのが特徴です。 料理する前に下処理しな…

タケノコご飯の美味しさ

四季を通して、私は炊き込みご飯をよく作りますが、 今の季節は、やはりタケノコご飯です。 乳白色のタケノコと醤油に薄く染まったご飯に、 色鮮やかな緑の木の芽が映えます。 そしてタケノコの深い風味と心地よい歯応えと ふくよかなご飯の味わいが調和しま…

タケノコ掘りにはなぜ地下足袋が役に立つのか

タケノコ掘りは楽しいイベントです。 潮干狩りや山菜採りに並ぶ春の楽しみです。 しかし、なかなかの重労働です。 スキやクワやスコップなどの重装備が必要です。 中でも、地下足袋は欠かせません。 なぜでしょうか。 タケノコは成長が早い植物です。 一日に…