おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

月見丼

月見そばや月見うどんのように卵を乗せた料理を「月見」と呼びます。 月見丼もその一つです。 ご飯の上にただ卵が乗っているだけではありません。 肉や魚や野菜などを使った料理と組み合わせた丼です。 たとえば鶏肉のそぼろやイカの納豆和えやキノコの甘辛…

木の葉丼

木の葉丼は衣笠丼に似ています。 お揚げの代わりに、短冊に切った蒲鉾を使った丼です。 薩摩揚げや竹輪を使うこともあるそうです。 衣笠丼と同じように甘辛く煮て卵でとじてご飯に乗せます。 シイタケやタケノコが入ることもあります。 三つ葉を散らすところ…

衣笠丼

衣笠丼は京都発祥の丼物です。 甘辛く煮たお揚げと青ネギを卵でとじてご飯に乗せた丼です。 青ネギには九条ネギを使うのが京都流です。 衣笠丼の名前は京都の衣笠山に由来します。 衣笠山は、宇多天皇が真夏に雪景色を見たいと所望されたときに 白絹をかけた…

ピーナッツはピーなのかナッツなのか

ピーナッツは日本語では落花生といいます。 花が落ちて実が生ることから落花生と名づけられました。 花が咲いた後に子房の蔓が伸びて地中に潜り込みます。 地中で子房が膨らんで結実したものが落花生です。 一般には、殻が付いた状態の豆のことを落花生と呼…

スイカは野菜かフルーツか

スイカは夏を代表する果物ですが、野菜に分類されることがあります。 はたしてスイカは果実なのでしょうか、野菜なのでしょうか。 農林水産省の定義では「果実的野菜」と呼ばれています。 つまり果実的であってもじつは野菜だということです。 スイカの他に…

土用丑の日が二回ある理由

令和二年は土用丑の日が二回あります。 令和元年は一回しかありませんでした。 土用丑の日が一年に二回あるときは、 一の丑、二の丑と呼ばれることがあります。 土用丑の日はどのように決まるのでしょうか。 そもそも土用とは何でしょうか。 土用は二十四節…

山の芋が鰻になる

「山の芋が鰻となる」ということわざがあります。 あり得ないことが実際に起きることのたとえです。 山芋も鰻も長細い形をしています。 その形から連想できなくもありません。 精がつく食べものであることも似ています。 肉食が禁じられている僧侶がこっそり…

山芋と長芋

山芋と長芋は何が違うのでしょうか。 じつはたいへんややこしい話なのですが、 違うものでもあり同じものでもあります。 そもそも山芋という品種はありません。 学術的には「山の芋」というのが正式な名称です。 山野に自生する自然薯のことを指します。 里…

とろろと山かけ

6月16日は「麦とろの日」だそうです。 麦とろとは麦飯に「とろろ」をかけた料理です。 山芋や長芋をすり卸したものをとろろといいます。 出汁や醤油で味をつけ、青海苔などの薬味を添えます。 食材に上にとろろをかけたものは「山かけ」といいます。 山芋を…

ジャガイモはなぜフランスに広まったのか

フランス語でジャガイモのことを「ポム・ド・テール」といいます。 「大地のリンゴ」という意味です。短く「ポム」ともいいます。 フライドポテトのことを英語で「フレンチフライ」といいますが、 フランス語では「ポム・フリット」と呼んでいます。 ポム・…

ジャガイモはなぜドイツに広まったのか

ドイツ料理といえば真っ先にジャガイモが思い浮かびます。 代表的な料理は「ジャーマンポテト」かもしれません。 ところがドイツにはジャーマンポテトという料理はないそうです。 意外に思われますが、そういう呼び方をしないということです。 たしかにドイ…

男爵芋の男爵とは誰か

コロッケに向いているジャガイモな何でしょうか。 ジャガイモなら何でもいいというわけではありません。 ほくほくしたコロッケを作るには「男爵芋」が適しています。 ところで男爵芋の男爵とは誰のことでしょうか。 明治時代に活躍した実業家の川田龍吉男爵…

コロッケが肉屋さんで売られるのはなぜか

日本語のコロッケの語源はフランス語のクロケットに由来します。 クロケットは小さな円筒形をした揚げ物料理のことです。 日本にクロケットが伝わったのは明治時代です。 コロッケという名称で西洋料理店の人気メニューになりました。 当時のコロッケはいわ…

イタリアのために祈ります

イタリア料理は日本でも人気ですが、その魅力とは何でしょうか。 一つめは日本料理と共通する点があることだと思います。 どちらも素材の持ち味を最大限に尊重します。 素材に手を加えすぎると、その美味しさが失われてしまいます。 イタリアの人々はそれを…

カツ丼の誕生

カツ丼はいつ、どこで生まれたのでしょうか。 じつはカツ丼の発祥地を名乗る地域は日本各地にあります。 カツ丼ほど多くの起源説を持つ料理はないとさえ言えます。 そのためカツ丼の発祥地を特定することは難しいようです。 同様にカツ丼誕生の時期も正確に…

トンカツの誕生

トンカツはいつ、どこで生まれたのでしょうか。 トンカツは今では日本食としてすっかり定着していますが、 日本人が豚肉を食べるようになったのは文明開化の時代です。 当時横浜にあった西洋料理店で、高座豚に天ぷらのような衣をつけて 油で揚げた料理を売…

カツレツとコトレッタ

日本語のカツレツの語源はフランス語のコートレットに由来します。 もともとコートレットは料理の名前ではありません。 仔牛や仔羊の骨付きのバラ肉や背肉のことを意味します。 フランス語ではリブロースのことをコートと呼びます。 コートレットは小さなコ…

柚子胡椒

柚子胡椒は胡椒ではありません。 青柚子と青唐辛子で作る香辛料のことです。 九州地方では唐辛子のことを胡椒と呼び地域があります。 歴史的に唐辛子よりも胡椒の方が早く伝来したためです。 柚子胡椒は青柚子と青唐辛子を細かく刻んで塩につけたものです。 …

幽庵焼き

柚子の香りを生かした料理に「幽庵焼き」があります。 魚の付け焼きの一種です。 江戸時代の茶人、北村祐庵が考案したと伝えられています。 そのため「祐庵焼き」とも「柚庵焼き」とも表記されます。 幽庵焼きには、サワラやアマダイなどの魚の切り身が使わ…

ゆべし

和菓子の中でゆべしほど多彩な顔を持つものはありません。 日本各地にさまざまな味と形のゆべしがあります。 ゆべしを漢字で書くと「柚餅子」です。 すなわち柚子を使った餅のお菓子を意味します。 しかし、もともとゆべしはお菓子ではなく保存食だったよう…

三日とろろ

三日とろろとは、お正月の三日にとろろを食べる習慣のことです。 この日にとろろを食べると無病息災で一年を過ごせると伝えられています。 また、お正月のご馳走をたくさん食べて胃も疲れているでしょうから、 消化の良いとろろで胃を癒してくださいという意…

ホロホロ鳥のホロホロとは何か?

ホロホロ鳥はアフリカに生息するキジ科の鳥です。 西アフリカのギニア湾岸が原産と考えられています。 そのため英語で「ギニア・ファウル」と呼ばれています。 ギニアの鶏という意味です。 古くから食用として家禽化されてヨーロッパに伝わりました。 ヨーロ…

七面鳥は名前も七変化

七面鳥は北アメリカ大陸原産のキジ科の鳥です。 キジの仲間では最も大きく、体長1メートルを超えるものもあります。 短距離の跳躍はできるのですが、軽やかに大空を飛ぶことはできません。 アメリカの先住民によって古くから家禽化されてきましたが、 16世紀…

しんじょとはんぺん

しんじょは魚介類のすり身に出汁や卵白や山芋を加えて手毬(てまり)に成形し、 蒸したり茹でたり油で揚げたりした料理です。 出来立ての熱々に大根おろしを添えたり柑橘類を搾っていただくと最高です。 また煮物やおでんの具としても美味しさが際立ちます。…

おぼろとそぼろ

「おばろ昆布」は昆布の表面を薄く削ったものです。 ふわっとした食感と豊かな昆布の風味が魅力です。 「とろろ昆布」とよく間違われますが製法が異なります。 とろろ昆布は何枚かの昆布を束ねてその側面を削ります。 おぼろ昆布は一枚ずつ昆布の表面を削り…

がんもどきとひろうす

がんもどきは水気を切って崩した豆腐を球状にして油で揚げた料理です。 具としてギンナンや刻んだニンジン、レンコン、キクラゲなどが入ります。 つなぎにヤマイモを使ってふっくらと仕上げます。 煮物やおでんの種としますが、一度油で揚げるので味にコクが…

つみれとつくね

つみれは「摘み入れる」という言葉に由来します。 すり身を手で摘んで入れるという意味です。 竹べらやスプーンを使ってすり身を一口大に形を整えます。 すでに煮立っている鍋や汁の中に入れて作ります。 つくねは「捏(つく)ねる」という言葉に由来します…

イベリコ豚はイベリ子豚?

イベリコ豚はイベリア半島で飼育されている豚の品種です。 スペイン語で「セルド・イベリコ」といいます。 純血のイベリア種だけでなく一部の交配種も含まれますが、 スペイン政府の認証を得たものだけがイベリコ豚と呼ばれます。 イベリコ豚は黒い脚と黒い…

豚肉の刺身

明治時代に書かれた「食道楽」という小説があります。 さまざまな料理や食材が作品の中に描かれています。 その中に豚肉の刺身の話が出てきます。 牛刺しや馬刺しという料理はありますが、 豚肉は刺身で食べられるのでしょうか。 もちろん食べられません。 …

ラフテーと東坡肉

ラフテーは沖縄の郷土料理です。 皮付きの豚の三枚肉を醤油と砂糖と泡盛を使って柔らかく煮込みます。 豚肉の角煮に近い料理です。 三枚肉とはバラ肉のことです。 皮と赤身と脂身が三層になっているので三枚肉と呼ばれます。 皮付きのまま使う点が角煮と違う…