酢豚という料理名は日本で命名されました。 中国では通じません。 酢豚の原型となった料理は、広東省発祥の 「古老肉(グーラオロウ)」です。 角切りの豚バラ肉をいったん油で揚げてから、 野菜やパイナップルと一緒に炒めます。 醤油、老酒、トマトケチャ…
ゼリーがゼラチンから作られることは知られていますが、 では、ゼラチンは何から作られるのでしょうか。 ゼラチンの主成分はコラーゲンであり、 コラーゲンはタンパク質の一つです。 主にセキツイ動物の皮革や骨などに含まれているので、 牛や豚のコラーゲン…
茶碗蒸しは、溶き卵と出汁を合わせて蒸した料理です。 柔らかな卵の食感と出汁の美味しさが魅力です。 茶碗蒸しを心から愛する人は、具材を入れないそうです。 卵と出汁だけを味わうのが王道だと言います。 しかし、一般的に茶碗蒸しには季節の具材を入れま…
赤塚不二夫は昭和を代表する漫画家の一人であり、 ギャグ漫画の旗手として知られています。 名作「天才バカボン」「おそ松くん」など数多くの 人気の作品を生み出してきました。 漫画から生まれた「シェー」や「これでいいのだ」や 「レレレのレ」は流行語に…
昭和時代にこういうクイズがありました。 「ハンドルの値段はいくらか?」 平成と令和の世代には難問かもしれませんが、 答えは180円です。 当時の外国為替レートは固定相場制でした。 1ドルは360円と決まっていました。 ですから、「半ドル」は180円になり…
タコを食べる国は世界でも限られていますが、 中でも日本は有数のタコ好きの国です。 国内のタコの産地といえば、明石が有名です。 海峡の潮流に揉まれて身が締まっています。 近年は、モロッコ産やモーリタニア産など、 アフリカのタコが国内に流通していま…
トビウオのダシのことを「あごだし」といいます。 主に九州地方で古くから使われてきました。 トビウオを天日で素干しにした「あご干し」や、 焼き干しにした「焼きあご」からダシを取ります。 上品ですっきりとした独特の旨味と風味があり、 カツオ節ともサ…
魚を調理するとき、通常はワタを取り除きます。 ワタとは魚の内臓のことです。 焼き魚にするにしても煮魚にするにしても、 ワタが残っていては美味しく仕上がりません。 ところが、例外的にワタが美味しい魚があります。 アユとサンマです。 アユは清流の河…
昨年に比べると、今年はサンマが豊漁です。 価格も昨年より手頃です。 嬉しいのは、安価なことばかりではありません。 サンマの身が大きく脂も乗っています。 おかげで今年は美味しいサンマが味わえます。 ただし、あくまで昨年と比べた話です。 ここ数年間…
中華料理は食材の種類が多いことで知られています。 机と椅子以外、四本足のものは何でも食べるそうです。 珍しい食材を使うことも少なくありませんが、 「田鶏」と呼ばれる食材もその一つです。 正確な中国語の発音はわかりませんが、 「ティエンチー」と読…
田んぼから姿を消してしまった生き物は、 ドジョウやタニシだけではありません。 稲刈りの季節に田んぼでよく見かけたイナゴも、 今は少なくなりました。 イナゴは稲の害虫ですが、貴重なタンパク源でもあり、 昔から食用とされてきました。 佃煮にして食べ…
希代の美食家として知られた北大路魯山人は、 肝吸虫が原因で亡くなりました。 肝吸虫は、淡水の魚介類を宿主とする寄生虫です。 ヒトの体内に入ると肝硬変を引き起こします。 北大路魯山人はタニシが大好物だったそうです。 しかも生煮えを好んで食べていま…
島根県の民謡「安来節」は、ドジョウすくい踊りの 歌としてよく知られています。 歌に合わせてザルでドジョウをすくう滑稽な踊りは、 宴会の御座敷芸の定番です。 ドジョウは、流れの緩やかな小川や湖沼や水田の 泥底に生息しています。 実際にザルですくっ…
長野県の佐久地方では、昔からコイの養殖が盛んですが、 現在では小ブナの養殖も盛んです。 清冽な湧き水を利用してコイの養殖が始まったのは、 江戸時代のことです。 起源については諸説がありますが、大阪から「淀鯉」が 導入されたという説が有力です。 …
稲作は弥生時代に日本に伝わりましたが、 水田という農法も同時に伝わりました。 昭和初期に静岡県で発掘された登呂遺跡は、 日本最古の水田の遺跡です。 区画整備された水路や農機具などが出土し、 当時の集落の暮らし振りがわかります。 もちろん稲は水田…
かつてササニシキは、コシヒカリと並び、 米の二大ブランドとされていました。 ササニシキは昭和30年代に宮城県で生まれた 宮城県を代表する銘柄米です。 コシヒカリが「西の横綱」であるのに対して、 ササニシキは「東の横綱」と呼ばれました。 ササニシキ…
もうそんな季節なのかと驚かれるかもしれませんが、 早くも新米の季節がやってきました。 この時期に出荷される新米は「早場米」と呼ばれます。 通常の米よりも約1か月早く収穫される米です。 九州や四国などの台風の多い地域で栽培されています。 台風が来…
毎年8月は、戦争の悲惨さを後世に伝えるために、 各地でさまざまなイベントが開かれます。 すいとんを食べるという企画もその一つです。 戦中戦後の食糧難の時代を体験できます。 太平洋戦争末期から終戦にかけて、日本国内では、 食料事情が極度に逼迫しま…
私が子どもの頃、お盆になると川で遊ぶことが 禁じられました。 私は東北の生まれですが、東北の夏は短く、 お盆の頃にはもう川の水温が下がり始めます。 水難事故を防ぐために、昔から受け継がれてきた 先人の知恵なのかもしれません。 「釣りキチ三平」で…
もうすぐお盆がやってきます。 お盆はご先祖の霊が里帰りする日です。 かつては旧暦7月15日に行われていましたが、 現在は新暦8月15日が多くなっています。 13日の夕刻には、ご先祖の霊をお迎えするために、 迎え火を焚きます。 迎え火とは、門前で麻幹(お…
今日は立秋です。暦の上ではもう秋なのに、 まだまだ暑いという声をよく耳にします。 それはもっともなことかもしれません。 立秋は夏の暑さが頂点に達する日のことです。 この日からいよいよ秋が始まるスタート地点です。 ですから、まだまだ暑い日が続くの…
昔から「食べ合わせ」と呼ばれる禁忌が知られています。 一緒に食べてはいけない食品の組み合わせのことです。 科学的な根拠があるわけではなく、あくまで俗説ですが、 それなりに理に適っている場合もあります。 たとえば、代表的な食べ合わせとして有名な…
「土用干し」という季節の風習があります。 夏の土用の時期に衣服を干すことです。 夏の土用は立秋の前の18日間をいいます。 例年7月下旬から8月上旬の期間です。 晴天が続く時期ですから、虫干しには最適です。 衣服についた虫を駆除するために行われます。…
夏の土用丑の日には、昔から鰻を食べる習慣があります。 江戸時代に平賀源内が発案したという説が有力です。 しかし最近では、「土用丑の日に鰻を食べるべきではない」 という意見が増えています。 なぜ食べるべきではないのか疑問に思うかもしれませんが、 …
数年前からイタリア産の生ハムの輸入が途絶えています。 理由は、アフリカ豚熱がイタリアで発生しているからです。 アフリカ豚熱は、ブタやイノシシが感染する伝染病です。 有効なワクチンや治療法が確立していません。 ヒトに感染することはありませんが、…
昔から相性のよい食材の組み合わせは決まっています。 たとえばカモとネギは「カモネギ」と呼ばれる定番です。 マツタケとスダチ、ハモと梅肉、サンマと大根おろし、 麦飯ととろろ、ウナギと山椒もよく合います。 ちょっと意外なのは、ホヤとキュウリの組み…
北インドで生まれたメロンの祖先は、西と東に分かれ、 長い年月をかけて世界に伝わっていきました。 西に伝わったのが西洋種のメロンであり、 東に伝わったのが東洋種のウリです。 日本には紀元前からウリが伝わっていましたが、 明治時代になると欧米からメ…
メロンの原産地は中近東から北アフリカにかけた地域と 考えられていました。 しかし、近年の研究によってこれまでの定説が覆され、 北インドが原産地であるという説が出てきました。 そこから西に伝わったのが西洋種のメロンとなり、 東に伝わったのが東洋種…
桂文枝師匠は創作落語を得意としていらっしゃいます。 桂三枝を名乗っていた頃から名作を残しています。 時代の流行に敏感なネタ作りには定評があります。 マスクメロンのネタもその一つです。 こんな小噺です。 近頃は風邪がようはやっておりまんなあ。 道…
メロンはインド原産のウリ科の果実です。 世界中で愛されています。 初期のメロンは甘くなかったそうですが、 昔から品種改良が行われてきました。 そのため、メロンの種類はたいへん多く、 価格の差が大きいのも特徴です。 たとえば夕張メロンは代表的な高…