おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

白菜漬けを作るとき白菜を手で裂くのはなぜか

白菜漬けを作るとき、ひと玉の白菜を四つ割にしますが、

包丁で切るのではなく手で裂きます。

 

包丁を使うのは、根元に十文字の切り込みを入れるときです。

その後、包丁を使わず手で裂いて四つ割にします。

 

包丁で切った方が、断面はきれいに見えますが、

葉先が根元の芯から切り離されてしまいます。

 

白菜を漬けている途中でばらばらになってしまいます。

 

包丁を使わずに手で白菜を裂くことによって、

葉先が根元の芯と繋がった状態を保てます。

 

四つ割にした白菜は水分を抜くため半日ほど天日に干します。

9割が水分の野菜ですから、しんなりとなるまで干します。

 

いったん塩だけで下漬けした後に、取り出して本漬けします。

昆布や鷹の爪を挟んでもう一度漬け直すのです。

 

このとき柚子の皮や蜜柑の皮を入れることもあります。

香り豊かな白菜漬けになります。

 

私の故郷の福島では柿の皮を入れていました。

 

福島は干し柿の名産地として知られています。

干し柿を作るときに剥いた柿の皮も捨てません。

 

干して白菜漬けや大根漬けに使います。

甘みがあってまろやかな風味になります。

 

 

じつは柿の皮を剥くときも包丁を使いません。

もちろん手で剥いたりしません。

 

鉛筆削りのような便利な道具があるのです。

ハンドルを回すだけで柿の皮がきれいに剥けます。

 

包丁だけが切る道具ではありません。