
茶碗蒸しは、溶き卵と出汁を合わせて蒸した料理です。
柔らかな卵の食感と出汁の美味しさが魅力です。
茶碗蒸しを心から愛する人は、具材を入れないそうです。
卵と出汁だけを味わうのが王道だと言います。
しかし、一般的に茶碗蒸しには季節の具材を入れます。
味の組み合わせを楽しむのも茶碗蒸しの魅力です。
具材としては、小海老、鶏肉、蒲鉾、椎茸がお馴染みです。
吸い口には三つ葉を添えます。
季節によって、松茸、銀杏、百合根を入れることもあり、
吸い口に柚子を添えることもあります
季節の白身魚も茶碗蒸しによく合います。アマダイ、ハモ、
焼きアナゴを入れることもあります。
また、地域差も見られ、うどん、お餅、春雨などを入れる
茶碗蒸しが郷土料理として知られています。
しかし、茶碗蒸しに入れてはいけない食材があります。
それは生の舞茸です。
舞茸にはタンパク質を分解する酵素が含まれています。
「マイタケプロテアーゼ」と呼ばれています。
そのため、茶碗蒸しに生の舞茸を入れて蒸すと、
卵のタンパク質が固まりません。
卵がつるりと柔らかい茶碗蒸しは美味しいのですが、
どろりとしていては美味しくありません。
それでも、舞茸はたいへん美味しい食材です。
何とか茶碗蒸しに使えないのでしょうか。
じつは舞茸の酵素は、加熱することによって、
不活性化されます。
舞茸にいったん火を通して茶碗蒸しに入れると、
卵が固まらなくなることはありません。
ただ、舞茸にはもう一つの難点があります。
黒い色素が流れ出てしまうことです。
卵の色が黒ずみ、せっかくの茶碗蒸しの美しさが
損なわれてしまいます。
茶碗蒸しは和食の華ですから、味や香りだけでなく、
見た目も美しくなければなりません。
黒くならない舞茸はないものかと思っていたら
ありました。白舞茸です。
舞茸の新しい品種として、近年登場しました。
白舞茸ならば色が黒ずむことがありません。
おかげで舞茸の香りを楽しみながら美味しい
茶碗蒸しを味わうことができます。
白舞茸はその名の通り、思わず舞いたくなるほど
嬉しい食材です。