小麦粉を練って麺を作り、味噌味で煮込みます。
ほうとうの麺は、うどんよりも太く平たく短く切ります。
うどんのように生地を寝かせることはありません。
下茹でをせずに、生麺のまま大鍋で煮込みます。
うどんよりは「すいとん」に近い料理法です。
また、カボチャなどの野菜がたっぷり入るのも特徴です。
少し煮崩れたカボチャの甘みが味噌味によく合います。
うどんはどちらかというと麺そのものを味わう料理です。
釜揚げうどんやざるうどんがそのよい例です。
それに対してほうとうは、具沢山の旨みを味わう料理です。
何を入れるかは、地域や家庭によって異なります。
具沢山にする理由は美味しいからだけではありません。
量を増やすための工夫たったのではないでしょうか。
もともと甲斐の国は、稲作が盛んな地域ではありません。
小麦を中心とした山間地特有の食文化を持っていました。
野菜をたっぷり入れると、ほうとうが少なくて済みます。
小麦を大切に食べていたのだと考えられます。
現代の私たちの食生活はたいへん豊かになりました。
たくさんの美味しいものに恵まれています。
しかし、小麦の自給率は十数パーセントしかありません。
つまり海外からの輸入に頼る不安定な状況なのです。
外国で戦争が始まると、輸入が止まり価格は高騰します。
投機的に買い占められてしまうリスクもあります。
貧しい国の人々は日本よりもさらに悲惨な状況です。
深刻な食糧不足の危機にさらされてしまいます。
平和を願い、小麦に感謝していただかなくてはなりません。
ところで、ほうとうとは変わった名前です。
その語源は何でしょうか。
武田信玄が、伝家の宝刀を抜いて食材を切ったそうです。
そのため宝刀(ほうとう)と名づけられたとか。
あくまで伝説ですが。