おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

ズワイガニの「ズワイ」とは何か

ズワイガニの「ズワイ」とは何でしょうか。

その語源は「スワエ」という言葉です。

 

「スワエ」は漢字で「楚」と書きます。

細く長く伸びた木の小枝のことを指します。

 

ズワイガニの足は長く、まるでスワエのようです。

ですから、「スワエガニ」と呼ばれていました。

 

ズワイガニは、冬になると旬を迎えます。

「冬の味覚の王様」といわれています。

 

主に日本海側で水揚げされますが、

とくに北陸地方は名産地です。

 

オスとメスでは、体の大きさに差があり、

メスの体はオスの半分しかありません。

 

そのためメスのズワイガニの呼び名も変わってきます。

コウバコガニ」や「セイコガニ」と呼ばれます。

 

また、地方によっても呼び名が異なり、福井では「越前ガニ」、

石川では「加能ガニ」、鳥取や島根では「松葉ガニ」と呼ばれます。

 

「松葉」も「スワエ」と同じ発想かもしれません。

ズワイガニの足は、松葉のようにも見えます。

 

近年は、ズワイガニのブランド化が進み、

漁港ごとにブランド名がつけられています。

 

海外産の安価なズワイガニと区別したり、

他の地域との差別化を図ることが目的です。

 

今でこそ、ズワイガニは高級食材として扱われていますが、

冷蔵冷凍技術がない時代は、全国に流通していませんでした。

 

他の魚介類と違って、干したり塩漬けにしたりできません。

地元で消費するしかありませんでした。

 

ズワイガニが全国で食べられるようになったのは、

高度経済成長期の昭和30年代です。

 

大阪に「かにすき」の専門店が開業してから

急速に人気が高まったといわれています。

 

そうです。店頭に大きなカニのモニュメントが飾られている

あの有名な店です。