おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

桜鯛とはどんな鯛か

春になると真鯛は産卵のために沿岸にやってきます。

ちょうど桜の花が咲く季節です。

 

これを「桜鯛」といいます。桜の季節の真鯛のことです。

 

真鯛に限らず、魚は産卵が近づくと身が肥えて脂が乗ってきます。

桜鯛は、真鯛の中で最も美味しいと言われています。

 

産卵を終えると、身が細って味も落ちてしまいますが、

夏から秋にかけて、また栄養を蓄えていきます。

 

秋も深まるころには身が肥えて美味しくなります。

それを「紅葉鯛」というそうです。

 

真鯛は、獲れる地域によっても名前が変わります。

いわゆる「ご当地鯛」です。

 

「明石鯛」や「鳴門鯛」がよく知られています。

どちらも潮流にもまれて身が締まっています。

 

また、鯛の種類でなくても名前に「タイ」がつく魚がいます。

キンメダイ、アマダイ、イトヨリダイなどがそうです。

 

こうした魚のことを「あやかり鯛」と呼ぶそうです。

じつに、百種類以上もあるといわれています。

 

鯛を名乗ると高級感が出て格式が上がるのかもしれません。

 

ところで、「サクラダイ」という名前の魚がいます。

タイ科ではなく、ハタ科の魚です。

 

真鯛よりも小さく、鮮やかなオレンジ色の体ですが、

桜の花びらを散りばめたような斑点があります。

 

おそらくそれが「サクラダイ」という名前の由来です。

名前だけ聞くと、「桜鯛」と勘違いしてしまいます。

 

変わった性質があり、生まれたときはすべてメスです。

成長するにつれてオスになるそうです。

 

名前も性別も紛らわしい魚です。