つみれは「摘み入れる」という言葉に由来します。
すり身を手で摘んで入れるという意味です。
竹べらやスプーンを使ってすり身を一口大に形を整えます。
すでに煮立っている鍋や汁の中に入れて作ります。
つくねは「捏(つく)ねる」という言葉に由来します。
すり身を手で丸くこねるという意味です。
つみれと違って下準備の段階で団子状にしっかり成形します。
焼いたり煮たり揚げたりさまざまな料理に応用が利きます。
つみれには魚のすり身がよく使われ、つくねには鶏の挽き肉がよく使われますが、
つみれとつくねは調理方法の違いであって材料の違いではありません。
ですから鶏の挽き肉のつみれもあれば、魚のすり身のつくねもあります。
とは言え、つみれにはアジやイワシなどの青魚が使われることが多いようです。
私もイワシのつみれは大好きです。
魚屋さんの店先でピカピカの新鮮なイワシを見ると嬉しくなります。
新鮮なイワシはお刺身や酢締めもいいのですが、つみれもおいしくいただけます。
まずはイワシを手開きにして皮を引きます。
そして包丁で身を細かく叩いてすり身を作ります。
イワシは小骨の多い魚ですが、つみれにすると気になりません。
むしろイワシのつみれらしい食感を生みます。
背骨は取りますが、小骨が残っていても構いません。
小骨ごと身を叩いてすり身にします。
塩を加えてよく練ると粘り気が出てきます。
さらにショウガのしぼり汁を入れて練ります。
つなぎに卵白を混ぜるとふっくらと仕上がりますが、
卵白を混ぜない噛み応えのあるつみれを好む人もいます。
また刻んだ青ネギを入れるとイワシの風味を引き立てますが、
それもお好みです。
練り上がったつみれは鍋や汁に仕立てる前に下茹でします。
青魚の生臭みを取るための一手間です。
沸いたお湯の中にイワシのつみれをすくって入れます。
中までさっと火が通ったら引き上げます。
茹ですぎるとイワシの旨みまで逃げてしまいます。
火を通しすぎないように手早く湯通しするのがコツです。
茹で立てはそのままショウガ醤油で食べてもおいしいです。
もちろん出来立てのイワシのつみれで作った鍋や汁も絶品です。
イワシは個性が強いのでシンプルな鍋がお勧めです。
寄せ鍋のような多くの食材は要りません。
つみれ汁に仕立てるときは味噌よりも醤油が合います。
たっぷりの白髪ネギを添えると旨さが際立ちます。
素朴でありながら深い滋味を感じる一品です。