おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

カツレツとコトレッタ

日本語のカツレツの語源はフランス語のコートレットに由来します。

 

もともとコートレットは料理の名前ではありません。

仔牛や仔羊の骨付きのバラ肉や背肉のことを意味します。

 

フランス語ではリブロースのことをコートと呼びます。

コートレットは小さなコートという意味です。

 

一般には肉の切り身にパン粉をまぶしてバターで焼く料理のことも指します。

 

豚肉のコートレットがポークカツレツの原型と言われていますが、

初期のポークカツレツはポークソテーのような料理だったようです。

 

むしろ日本料理のカツレツはフランス料理のコートレットよりも、

イタリア料理のコトレッタに近いのかもしれません。

 

イタリアにはコトレッタ・アッラ・ミラネーゼという料理があります。

ミラノ風カツレツとして紹介されることもあります。

 

まず仔牛のリブロース肉を叩いて薄く延ばします。

できるだけ薄く広げるのがコツです。

 

よく象の耳にたとえられます。レストランのメニューにも

オレッキア・デレファンテ(象の耳)と表記されることがあるそうです。

 

塩とコショウで下味をつけ、溶き卵にくぐらせてパン粉をまぶします。

 

パン粉は目の細かいものを使いますが、パルミジャーノ・レッジャーノ

あらかじめすり下ろしておきます。

 

カツレツのように大量の油で揚げるわけではなく、

フライパンで片面ずつキツネ色になるまで焼いていきます。

 

肉を叩いて薄く延ばす理由がここにあります。

火を通りやすくするための工夫です。

 

バターで焼く方法とオリーブオイルで焼く方法がありますが、

その両方を使って焼くこともあります。

 

オリーブオイルだけで焼くときは仕上げに澄ましバターをかけます。

カツレツのようにウスターソースは使いません。

 

焼き立ての熱々にレモンを搾っていただきます。