おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

芸者のように艶やかなゲイシャという名のコーヒー豆

 

コーヒー豆の品質の差はたいへん大きく、

一般には4段階に分類されています。

 

品質の高い順に、スペシャルティ、プレミアム、

コモティティー、ローグレードです。

 

近年、世界最高峰のコーヒー豆の一つとされているのが、

スペシャルティの頂点に立つ「ゲイシャ」です。

 

花のような豊かな香りと柑橘系の爽やかな味わいが、

ゲイシャの最大の特徴です。

 

パナマコスタリカなどで栽培されていますが、

収穫量はごくわずかしかありません。

 

そのため非常に高価なコーヒー豆です。

 

ゲイシャという名は、日本の芸者に由来すると

思われるかもしれませんが、そうではありません。

 

エチオピアにある「ゲシャ村」に自生していたので、

その地名から名づけられました。

 

ところが、日本人の輸入業者が聞き間違えたことから

いつしかゲイシャと呼ばれるようになったそうです。

 

日本の芸者とは全く関係がありませんが、

華やかさと艶やかさは似ています。

 

ゲイシャの名に恥じない高い品質を誇っていますが、

その中でも超高級品が「パナマゲイシャ」です。

 

世界各地のコーヒー豆の品評会で高い評価を受け、

オークションでも高額で落札されました。

 

コーヒー一杯に換算すると、約30,000円にもなります。

過去に例を見ない史上最高の価格です。

 

ゲイシャとは、一体どのような味なのでしょうか。

 

ジャスミンやピーチのようなフローラル系の高い香りと、

完熟したモモやネクタリンのような甘い味わいが特徴です。

 

その甘味が柑橘系の爽やかな酸味と溶け合い、

チョコレートのような濃い後味が残るそうです。

 

きっと想像を絶する極上の美味しさなのでしょう。

 

一度でよいからゲイシャを味わってみたいと思いますが、

おそらくその機会は生涯ないだろうと確信しています。

 

普通のコーヒーショップで、一杯300円のコーヒーを

100杯飲むだけで十分に幸せです。