「たたき」とは、肉や魚を包丁でたたいて作る料理のことです。
代表的な料理が「アジのたたき」です。
包丁で細かくたたくことによって表面積が大きくなります。
その分、薬味や調味料が馴染みやすくなります。
それがたたきの特徴であり、刺身とは違うところです。
しかし、たたき過ぎるとすり身になってしまいます。
せっかくのアジのぷりぷり感が損なわれます。
たたき加減を心得なければなりません。
ところで、カツオのたたきはアジのたたきとは違います。
カツオのたたきは本当にたたいて作るのでしょうか。
カツオはもちもちした食感が大きな持ち味ですから、
その食感を生かすために厚めに切ります。
しかし身が厚いと薬味や調味料が中まで滲みにくいので、
手でたたいて馴染ませます。
それが本来のカツオのたたきの製法です。
カツオの皮目を焼く製法は、たたきではなく「土佐づくり」といいます。
固い皮目を香ばしく焼いて食べやすくした料理です。
土佐づくりにするときも、たっぷりの薬味と調味料を添えます。
そのため、土佐づくりのこともたたきと呼ぶようになりました。
とくに昔は塩を振って食べていたということですから、
手でたたいて馴染ませる必要があったのかもしれません。
現在はポン酢で食べることが多いのでたたくことはありません。
たたかない「カツオのたたき」とは面白い料理名です。