小麦には、春小麦と冬小麦があります。
小麦の種類が違うわけではありません。
同じ小麦でも蒔く季節が違うのです。
多くの小麦は冬を迎える前に蒔きます。
これを冬小麦といいます。
冬小麦の大敵は霜です。せっかく蒔いた麦が、
霜柱で地表に押し上げられてしまいます。
そのため農家の人々は「麦踏み」をします。
麦がしっかり根付くようにする作業です。
冬小麦は翌年の初夏に収穫を迎えます。
その季節を「麦秋」といいます。
麦畑の一面が黄金色に輝きます。
まるで秋を思わせる風景です。
寒冷な地域では春に麦を蒔きます。
そして秋に収穫します。
これを春小麦といいます。
冬を越すことなく収穫する小麦です。
今はちょうど春小麦を蒔く季節です。
しかし戦争が始まりました。
多くの農家が国を追われています。
麦を蒔くことができません。
当然、秋に収穫することもできません。
放置された春小麦の麦畑は泣いています。
同様に、冬小麦の麦畑も泣いています。
初夏には麦秋を迎えます。
誰も刈り取ってくれる人がいません。
みんな戦争で国を追われたのです。
戦争とは何と愚かしいことでしょうか。
そして平和とは何と尊いことでしょうか。
一日も早く戦争が終わることを祈ります。
農家の人々が麦畑に戻れることを願います。