おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

カキフライは日本生まれの洋食

「和食」に対して「洋食」と呼ばれる料理があります。

その多くは、日本生まれの西洋風の料理を指します。

 

洋食のほとんどは、明治以降に考案されましたが、

カキフライもまた明治時代に生まれた洋食です。

 

カキに小麦粉、溶き卵、パン粉をまぶして高温の油で揚げます。

その料理法は、アジフライやエビフライと同じです。

 

アジやエビは、ほぼ一年中市場に出回っていますが、

カキの季節は限られます。

 

初冬から早春までがマガキの旬です。

ですから、カキフライは季節の料理です。

 

ところで、カキをフライにするのは日本だけなのでしょうか。

西洋にはカキフライがないのでしょうか。

 

一般に、西洋の人々はカキを生で食べます。

生こそ最も美味しい食べ方であると信じています。

 

そのため、カキを加熱調理する料理はほとんどありません。

まして、日本のカキフライのような料理はありません。

 

では、なぜ日本ではカキフライが好まれるのでしょうか。

私はトンカツの影響があると考えています。

 

もっと正確にいうと、トンカツの食べ方が影響しています。

つまり、キャベツの千切りのおかげだと思います。

 

通常トンカツにはキャベツの千切りが添えられます。

それがカキフライの場合にも応用されます。

 

揚げ物をさっぱりと食べるにはキャベツが最適です。

また、白いご飯もカキフライによく合います。

 

トンカツ定食が日本人に愛されるのと同じように

カキフライもまた定食として愛されています。

 

トンカツソースをかけてももちろん美味しいのですが、

カキフライにはタルタルソースが最適です。

 

玉ネギ、オリーヴ、パセリ、ケイパーを細かく刻んで

マヨネーズに和えてペッパーを加えます。

 

タルタルソースでカキフライを食べてみると

やはり日本ならではの洋食だと感じます。

 

日本に生まれた幸せが味わえます。