日本語のコロッケの語源はフランス語のクロケットに由来します。
クロケットは小さな円筒形をした揚げ物料理のことです。
日本にクロケットが伝わったのは明治時代です。
コロッケという名称で西洋料理店の人気メニューになりました。
当時のコロッケはいわゆるクリームコロッケが主流でした。
ステーキやシチューに負けない高価な料理でした。
ジャガイモを使った庶民的なポテトコロッケもあったそうですが、
レストランのメニューに載るほど高級ではありませんでした。
それに挑戦したのが、レストランでまだ修行中の若い料理人でした。
安価で美味しいコロッケを食べてもらいたいという夢を持っていました。
試行錯誤の末、ジャガイモに挽き肉を混ぜて小判型にしてラードで揚げました。
私たちがよく知っているポテトコロッケの誕生です。
しかし、せっかくポテトコロッケが完成したのも束の間のことです。
関東大震災によってレストランが焼失してしまいました。
この若い料理人はレストランを諦めて肉屋さんになりました。
しかし安価で美味しいコロッケを食べてもらう夢は諦めませんでした。
彼は店頭で揚げたてのポテトコロッケを売り出しました。
肉屋さんですからコロッケに必要な挽き肉もラードもたくさんあります。
熱々でほくほくのコロッケはたちまち大評判となりました。
連日コロッケを求めて長蛇の列ができるほどです。
やがてコロッケの店頭販売は全国の肉屋さんにも広まりました。
こうしてコロッケが肉屋さんで売られる習慣が生まれました。
昭和30年代の横浜を舞台した「コクリコ坂から」という映画があります。
主人公の高校生が商店街の肉屋さんでコロッケを買う場面が出てきます。
コロッケが庶民的なお惣菜として親しまれていることがよくわかります。