おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

シェフの帽子はなぜ長いのか

レミーのおいしいレストラン」という映画があります。

ディズニーアニメーションの名作です。

 

主人公のレミーはネズミですが、料理の天才です。

パリのレストランで若い見習い料理人に出会います。

 

その若い見習い料理人はまったく料理ができません。

そこでレミーが彼のシェフ帽の中に隠れて彼を操作します。

 

そして次々と素晴らしい料理を作り出していきます。

レミーの料理を食べたお客さんは絶賛します。

 

お客さんは誰もレミーには気づいていません。

若い見習いが料理を作ったと思っています。

 

しかし、ついにレミーが見つかってしまいます。

レミーはどうなってしまうのでしょうか。

 

この映画の面白さは、もちろんレミーの活躍にありますが、

シェフ帽の中に隠れているからこそ活躍ができるのです。

 

それにしてもシェフ帽ななぜあんなに長いのでしょうか。

ネズミが隠れていても気づかないほどの長さです。

 

とくにフランス料理のシェフ帽の長さは特出しています。

日本料理の板前さんの料理帽に比べても歴然です。

 

フランス料理で長いシェフ帽を初めて採用したシェフは、

エスコフィエ氏と伝えられています。

 

フランス料理界の巨匠で数々の功績を残した偉人です。

「フランス近代料理の父」と称されています。

 

シェフという職業の社会的地位を大きく向上させ、

尊敬されるべき存在であることを証明しました。

 

しかし、かなり身長が低い人物だったそうです。

そのために長いシェフ帽をかぶりました。

 

偉大なシェフとしての威厳を示そうとしただけでなく、

厨房の統率を図ろうとしたのかもしれません。

 

もっとも長いシェフ帽には実用的な意味もあります。

それは通気性をよくすることです。

 

厨房では火を使いますので、暑さ対策は不可欠です。

頭部を覆う帽子は熱がこもってしまいます。

 

暑さで頭がぼんやりしては、美味しい料理はできません。

そのためにシェフ帽は長くなっているのです。

 

もっとも、シェフ帽が長ければ長いほど料理が美味しい

というわけではありませんが。