おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

男爵芋の男爵とは誰か

コロッケに向いているジャガイモな何でしょうか。

 

ジャガイモなら何でもいいというわけではありません。

ほくほくしたコロッケを作るには「男爵芋」が適しています。

 

ところで男爵芋の男爵とは誰のことでしょうか。

 

明治時代に活躍した実業家の川田龍吉男爵のことです。

欧米からジャガイモを取り寄せて北海道で栽培しました。

 

アイリッシュコブラーという品種だったそうですが、

一般には男爵芋の名称で普及しました。

 

現在もジャガイモの品種の中では最も多く栽培されています。

 

男爵芋の特徴はデンプン質が多く、ほくほくした食感があることです。

コロッケ、肉じゃが、粉吹き芋、じゃがバターに適しています。

 

しかし煮崩れしやすいので煮込み料理には向いていません。

煮物、おでん、シチュー、カレーには「メークイン」が向いています。

 

メークインはイギリス原産で、大正時代に日本に導入されました。

男爵芋と並んでジャガイモの二大品種として愛されてきました。

 

最近は、男爵芋メークイン以外に新しい品種が次々と生まれています。

 

「キタアカリ」は男爵芋譲りのほくほくした食感を持った品種です。

「とうや」は逆に滑らかできめ細やかな舌触りが特徴の品種です。

 

「ホッカイコガネ」は油との相性がよくポテトフライに向いています。

「トヨシロ」も油との相性がよくポテトチップスに加工されています。

 

「ニシユタカ」や「デジマ」は春先に新ジャガとして出荷されます。

「コナフブキ」はデンプンの原料として男爵芋に次ぐ生産量があります。

 

「インカのめざめ」はクリやサツマイモのように甘味があります。

そこから生まれた「インカのひとみ」という品種もあります。

 

これだけ種類が多いと料理をする楽しみが増えますが、

本当のジャガイモ好きの人にとって究極の食べ方は一つです。

 

それは茹でたジャガイモに塩を振って食べることだそうです。

単純にして奥義を究めた食べ方かもしれませんね。