マシュマロは柔らかいものを形容するときによく比喩として使われます。
まるでマシュマロみたいという表現はふわふわしたものを意味します。
マシュマロはメレンゲをゼラチンで固めて作ったお菓子です。
固めたといってもふわふわした柔らかい食感があります。
市販のものはメレンゲを使わずコーンスターチで作るものもあります。
色や風味も様々なものがあり世界中で人気のあるお菓子です。
アメリカではキャンプのときにマシュマロを焼く習慣があります。
木の枝にマシュマロを刺してキャンプファイヤーで直に焼きます。
上手に焼かないとマシュマロが融けて落ちてしまいます。
それも子どもたちにとっては楽しい体験です。
もともとマシュマロとは植物の名前です。
英語でウスベニタチアオイという植物を意味します。
この植物は古くから薬草として用いられてきました。
昔は根から取れるデンプンでマシュマロを作っていました。
現在のマシュマロはこの植物を使わずに作られています。
マシュマロを原料としないのにマシュマロと呼ぶのはおかしいのですが、
じつは日本のお菓子にも似たような例があります。
それはわらび餅です。
わらび餅は平安時代に醍醐天皇がこよなく愛したお菓子として知られています。
現代でも和菓子の定番として広く愛されています。
わらび餅はわらびの地下茎から取れるデンプンで作られます。
これをわらび粉といいます。
しかしわらびから取れるデンプンはほんのわずかの量です。
しかも手間暇かけて取らなければなりません。
そのため葛粉が代用されるようになりました。
わらび餅は江戸時代には東海道の日坂(にっさか)宿の名物となりました。
この頃は原料がわらび粉ではなく葛であることは広く知られていたようです。
今は葛粉ではなくジャガイモなどのデンプンで作られることが多いようです。
透明感のある涼し気な姿は夏のお菓子として親しまれています。
ひんやりしたわらび餅に黒蜜や黄な粉をかけていただくのは夏の風物詩です。
本当のわらび粉で作られたわらび餅を私は食べたことがありません。
食べるどころか見たこともありません。
本当のわらび餅は透明ではなく茶色っぽいそうです。
わらび独特の滋味が味わえるといわれています。
希少な価値のある食文化を守り続けることは大切だと思いますが、
わらび粉を使わないわらび餅もそれはそれでおいしいと感じます。