第126代目に当たる天皇でいらっしゃいます。
歴代の天皇はそれぞれ由緒ある名前をお持ちですが、
意外な名前の天皇もいらっしゃいました。
たとえば、第60代の醍醐天皇がそうです。
その安定した治世は「延喜の治」と称されています。
政治だけでなく、和歌の新興にも力を尽くしました。
その後、醍醐天皇の身内に次々と不幸な出来事が起こり、
菅原道真公の怨霊の祟りだという噂が広がります。
醍醐天皇のお住まいの清涼殿にも大きな落雷がありました。
内裏が延焼しましたが、天皇は何とか難を逃れます。
しかしご心労が重なったせいか病床に伏してしまわれます。
ついに皇太子に譲位し、その数日後に崩御されました。
波乱に富んだご生涯を送られた醍醐天皇ですが、
醍醐とはどういう意味なのでしょうか。
じつは古代の乳製品のことです。
濃厚で甘みのある極上の味とされています。
その製法は遥か昔に失われてしまいましたが、
熟成させたチーズではないかと考えられています。
醍醐について「大般涅槃経」という仏典にはこう記されています。
牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を出し、
生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐を出す。
醍醐が生乳から精製される最上の美味であることにたとえて、
涅槃経が仏教の最上の教えであることを説いています。
実際に醍醐がどのような乳製品だったのか、研究者によって
失われた味の再現が試みられています。
前述の通り、熟成させたチーズという説が有力ですが、
バタークリームともヨーグルトとも言われています。
いずれにしても、醍醐天皇が醍醐を召し上がったかどうか、
その記録は残っていません。
ちなみに醍醐天皇の名前は京都の地名に由来します。
乳製品から命名したわけではありません。
念のため。