おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

サンマのいないスダチの季節

夏が終わり、スダチが出回る季節になりました。

青々とした姿を八百屋さんの店頭でも見かけます。

 

爽やかな香りと酸味は、何といってもスダチの魅力です。

さまざまな料理に合いますが、焼き魚には最適です。

 

とくにサンマの塩焼きには、やはりスダチです。

相思相愛の食材です。

 

例年、サンマは八月の下旬から市場に出始めます。

秋が深まるに連れて水揚げ量も増えていきます。

 

初めは、北海道の根室、釧路、厚岸からやってきます。

次に三陸宮古、大船渡、女川、気仙沼、釜石からやってきます。

そして、小名浜、銚子と続きます。

 

南下するほどサンマの脂も乗ってきます。

お値段もお手頃になってきます。

 

ところが、ここ数年は高値が続いています。

サンマが獲れなくなっているからです。

 

値段が高いばかりではありません。

驚くほど、身も小さくなっています。

 

魚屋さんで見かけても、ちょっと躊躇して手が出ません。

もうサンマは庶民の味方ではなくなったのでしょうか。

 

もちろん漁師さんも必死に努力していらっしゃるのはわかります。

流通業者さんも小売業者さんも、皆さんが必死です。

 

私たち消費者もそれを理解しなければなりません。

そして、スダチにも理解してもらわなければなりません。

 

ごめんね、君の相棒が現れるのは、まだ先になりそうだ。

もう少し待ってもらえないかと。

 

今年のスダチは、心なしか例年よりも酸っぱく感じられます。