おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

お帰りなさいサクラエビ

待ちに待った駿河湾サクラエビの春漁が始まりました。

解禁初日の水揚げは、なんと前年の約40倍だそうです。

 

長らくサクラエビの不漁が続いてきただけに嬉しい知らせです。

やっと「駿河湾の宝石」が帰ってきてくれました。

 

記録的な不漁に見舞われたのは5年前のことです。

原因は、はっきりわかっていません。

 

黒潮の大蛇行のせいではないかとも考えられています。

黒潮特有の現象で、数年間続くこともあります。

 

水温の高い黒潮駿河湾に入ってこなくなったことが、

サクラエビの生態に影響しているのかもしれません。

 

もともと駿河湾では、サクラエビを獲り過ぎないように

春漁と秋漁の年2回に制限されていました。

 

漁獲量が激減した5年前からは、秋漁を中止しました。

漁の時間や漁船の数にも自主規制を設けてきました。

 

漁師さんにとっては辛い5年間だったのではないでしょうか。

ようやく努力の成果が現れてきたことは喜ばしいことです。

 

流通業者も販売業者もたいへんだったことでしょう。

もちろん私たち消費者もじっと我慢してきました。

 

今年の豊漁で、海が正直であるということを改めて感じました。

資源保護を怠らなければ、海は必ず恩恵を与えてくれます。

 

海に感謝してサクラエビを味わいたいと思います。

もちろん駿河湾の漁師さんにも感謝します。

 

新鮮なサクラエビは生でいただくのが一番です。

プチっとした食感と甘みが楽しめます。

 

ショウガ醤油にもワサビ醤油にも合いますが、

軽くレモンを絞っただけでも美味しいです。

 

ご飯にたっぷり乗せると贅沢なサクラエビ丼になります。

大葉を添えて見た目を美しく飾りましょう。

 

サクラエビの香ばしさを味わうならば、やはりかき揚げです。

さくさく感の中にサクラエビの旨さが際立ちます。

 

サクラエビだけのかき揚げも十分に美味しいのですが、

三つ葉を混ぜると風味もよく色合いも鮮やかです。

 

地元では、漁師さんが食べる「沖上がり」という料理があるそうです。

ネギや豆腐と一緒にサクラエビをすき焼き風に煮込むそうです。

 

文字通り、沖から上がったときに食べる料理なのでしょう。

獲れ立てを食べられるのは漁師さんの特権です。

 

干しサクラエビには、生と異なった独特の風味があります。

炒飯やパスタやお好み焼きによく合います。

 

ショウガを効かせた干しサクラエビの炊き込みご飯も絶品です。

ほんのり醬油で色づいたご飯にサクラエビが香ります。

 

炊き込む前に、干しサクラエビを乾煎りするのがコツです。

薄く色がつくまでフライパンで煎ると香ばしくなります。

 

5年振りにサクラエビ料理をあれこれ考えられるのは幸せです。

お帰りなさいサクラエビ