童話「龍の子太郎」にイワナが出てきます。
火であぶった香ばしい匂いのイワナです。
空腹に耐え切れずに禁断のイワナを食べて
龍の姿になってしまう話が描かれています。
私は子どもの頃に「龍の子太郎」を読んで、
イワナという魚を初めて知りました。
はらわたに沁み透ると表現されているので
ぜひ食べてみたいと思いました。
それほどまでに人々を魅了するイワナの味を
知りたかったからです。
しかし、イワナは山奥の渓流に棲む川魚です。
普通の魚屋さんでは売っていません。
大人になって初めてイワナを食べましたが、
自分が龍に化けるかとどきどきしました。
イワナはアユに劣らない美味しい魚です。
塩焼きにすると最高です。
貧しくて満足に食べられなかった昔の人々が
不憫に思えてきました。
龍の子太郎も同じように考えたようです。
もしイワナが百匹あればと語っています。
イワナも米の握り飯もたくさんあれば、
みんなが腹いっぱい食べることができます。
誰が食べたなどと争わなくて済みます。
イワナを食べた自分を責めることもありません。
大切なのは、貧しい暮らしをなくすことです。
そのことに龍の子太郎は気づくのです。
龍の子太郎は、超人的な力を発揮します。
山を切り拓き水田を作ろうとします。
しかし、一人では成し遂げることができません。
龍や鬼や動物たちがそれを手伝います。
とても感動的なお話です。