スローフードはファーストフードに対する言葉です。
1986年にイタリアの小さな町で始まりました。
消えゆく伝統的な郷土の食文化を守る運動です。
良質の料理法や美味しさを次の世代に伝えていくために
食材の生産や食品の製造を保護しています。
スローフードは、単に食生活を見直すことだけではありません。
健康で幸福な生き方を模索することです。
そのため、食を通して人のつながりや環境を大切にしています。
今では世界中にスローフード運動が広まっています。
たとえば、イタリアではトマトソースパスタがよく食べられます。
茹で上げたパスタをトマトソースに絡める料理です。
作り方は至って簡単で、手軽に美味しくいただけます。
しかし、決してファーストフードではありません。
なぜならば、トマトソースを作るまでがスローだからです。
パスタに使われるトマトソースは、ほとんどが自家製です。
各家庭それぞれに自慢の美味しいトマトソースがあります。
トマトが収穫される季節に家族総出で作られます。
トマトソース作りはイタリア人にとって、一年の大切な行事です。
半日がかりの作業なので、親戚一同が集まって手伝います。
採れたばかりの大量のトマトを大鍋でぐつぐつと煮込みます。
熱いうちにトマトソースを小ビンに詰めて蓋をします。
冷めるとビンの中が減圧されて蓋が密封される仕組みです。
そのため常温でも長期間保存できます。
親戚一同が持ち帰って、来年の収穫期まで大切に食べますが、
もちろん出来立てのトマトソースも皆で味わいます。
きっと美味しい食事をしながら楽しく話をするのでしょう。
ファビオは大きくなったねえ。もう小学生かい。
ルーチェは来年結婚するんだってねえ。めでたいことだ。
マリアおばあちゃんは相変わらずお元気ですね。
といった親戚同士の会話があるのではないでしょうか。
あくまで想像ですが。