人は誰でも年齢とともに食の嗜好が保守的になり、
新しい料理を受け入れる寛容さが失われてきます。
若い人ならば抵抗なく食べられる新しい料理も
ときに躊躇してしまうことがあります。
しかし食べてみると、意外に美味しいこともあります。
新しい美味しさの発見は、食べる喜びを与えてくれます。
トマトのおでんはまさにそうした料理です。
おでんはもともと味噌田楽から派生した料理です。
串に刺した豆腐を焼いて味噌をつけていました。
やがて、焼く料理から煮込む料理に変わりましたが、
今でもおでんを串に刺すのは田楽の名残です。
おでん種といえば、はんぺん、竹輪、つみれなどの練りもの、
大根、玉子、コンニャク、飛龍頭、タコが定番です。
近年では、ジャガイモ、ロールキャベツ、フランクフルトなど
新しいおでん種も増えています。
それにしても、トマトのおでんには驚きました。
本当におでんに合うのかと疑問に思いました。
ところが、食べてみて二度驚きました。
和風の出汁に意外とよく合います。
トマトのおでんが知られるようになったのは、1998年のことです。
東京銀座のおでん店が始めたと伝えられています。
今では全国各地のおでん店だけでなく、
家庭でも作られるようになりました。
トマトのおでんの作り方は決して難しくありません。
湯むきしたトマトをおでんに入れるだけです。
ただしトマトが煮崩れしやすいので注意が必要です。
他のおでん種と別にトマトだけ煮込む方法もあります。
熱々のトマトのおでんも美味しいのですが、
冷やしおでんにも向いています。
暑い季節にトマトの冷やしおでんは最適です。