おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

森を育てると牡蠣が美味しくなるのはなぜか

広島県の牡蠣養殖業者は昔から森の植樹活動に携わっています。

なぜ森を育てると牡蠣が美味しくなるのでしょうか。

 

海と山では無関係のように思われるかもしれませんが、

じつは海を豊かにするには山の環境が大切なのです。

 

広島湾にはいくつもの川が流れ込んでいます。

それらの川の水源は中国山地です。

 

中国山地の森林では落ち葉が分解されて腐葉土層を形成します。

それが雨水を吸い込み、栄養豊富な地下水となります。

 

そして長い時間をかけて川に流れ込み、海に注ぎます。

栄養たっぷりの海水が美味しい牡蠣を育てるのです。

 

気仙沼でも漁師さんたちが森の植林に関わっています。

やはり美味しい牡蠣を育てるためです。

 

川の上流に広葉樹を植え、山林の手入れを行いました。

荒れ果てた山地は見違えるほど美しい森に変わりました。

 

三陸の海に流れ込む川の水には多くの栄養分が含まれています。

おかげで、身がぷりぷりとした美味しい牡蠣が味わえます。

 

残念ながら、東日本大震災のときは壊滅的な被害を受けました。

しかし今ではすっかり牡蠣の養殖が復興しました。

 

もちろん現地の養殖業者の多大な努力のおかげでもありますが、

豊かな森がその努力を支えてくれました。

 

山の自然が豊かであれば、海の自然は必ず蘇ることが示されたのです。

自然を守っていくことの大切さを牡蠣は教えてくれます。