食べものの語源を調べてみるといろいろ面白い説に出会うことがあります。
真偽は別として思わず微笑んでしまう語源に出会えることは醍醐味です。
ウナギは鵜が飲み込むのに難儀するから「鵜難儀」という話を聞いたことがあります。
落語の小噺ですから学術的な根拠はありませんが何だか納得してしまいます。
諸説がある中で最も有力な語源は「胸黄(むなぎ)」説です。
ウナギは胸の辺りが黄色いのでそう呼ばれるようになったそうです。
ウナギの「ナギ」やアナゴの「ナゴ」は長い魚の意味だともいわれています。
もしかしたらウナギとアナゴは同じ語源かもしれません。
関西では鰻丼のことを「まむし」といいます。
ウナギの蒲焼きをご飯とご飯の間にまぶすので「まぶし」から転じました。
他にも「鰻飯(まんめし)」や「間蒸し」が語源であるという説もあります。
間蒸しは、白焼きと本焼きの間に一度蒸すからだそうです。
しかし蒸して焼くのが関東風、蒸さずに焼くのが関西風です。
関西で間蒸しと呼ぶのはいささか無理があります。
やはりご飯にまぶすことに由来しているのではないでしょうか。
関東と関西ではウナギの割き方も異なります。
関東では背開き、関西では腹開きが一般的です。
武家文化の影響が強い関東では「腹を切る」ことは縁起が悪かったようです。
鰻職人の間では「串打ち三年、割き八年、焼き一生」といわれています。
ウナギをきれいに割くには専門の包丁と高い技術が要ります。
では素人が天然のウナギを釣ったときはどのようにさばくのでしょうか。
ある人から聞いた話ですが、カボチャの葉でウナギを包むとよいそうです。
なるほどカボチャの葉には小さなトゲトゲがいっぱいあります。
ぬるぬるしたウナギもしっかりつかむことができます。
ではカボチャの葉がないときはどうすればよいのでしょうか。
心配いりません。新聞紙で包めばなんとかつかむことができます。
ウナギは縄文時代から食べられてきました。
蒲焼きという料理が定着したのは江戸時代です。
それ以前はぶつ切りにして料理していたようです。
昔の人もウナギをつかむのに難儀したのではないでしょうか。