おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

カツオの酒盗とは何か

カツオ一尾を丸ごと買うのでなければ作れない料理があります。

カツオの「酒盗」がその一つです。

 

酒盗とは、塩辛のことです。

塩辛は酒のつまみに最適な料理です。

 

旨い塩辛には旨い酒が付きものです。

酒が無ければ盗んでも飲みたくなります。

 

それが、酒盗という名の由来です。

あまり道徳的な命名ではありませんが。

 

塩辛は魚介類のワタを使って作る料理です。

よく知られているのはスルメイカです。

 

イカの塩辛は比較的簡単に作ることができます。

まずイカの身からワタを取り出します。

 

墨袋も潰さないようにそっと取ります。

潰してしまうと真っ黒になってしまいます。

 

イカ墨にも旨みがあり、それはそれで旨いのですが、

イタリア料理のイカ墨パスタのような塩辛になります。

 

イカの身とゲソを切り、ワタと和えます。

塩とみりんを混ぜてもみ込みます。

 

美味しいのですが、イカの塩辛は酒盗とはいいません。

酒盗と呼べるのはカツオの塩辛です。

 

カツオはたいていサクか切り身かお造りで売られています。

アラが売られることはあっても、ワタは売られません。

 

カツオ一尾を丸ごと売ってくれることは少ないので、

事前に魚屋さんに頼んでおくのがよいでしょう。

 

カツオを三枚に卸して刺身用にサク取りしますが、

新鮮なカツオは身だけでなくワタも旨いものです。

 

酒盗に使うのは胃と腸の部分です。

よく水洗いして汚れを落とします。

 

中央部に包丁を入れて指でしごきます。

適当な大きさに切って塩を振ります。

 

よく塩をもみ込んで、包丁で細かくたたきます。

冷蔵庫に十日ほど寝かせて出来上がりです。

 

お酒を盗まなくて済むように前もって買っておきましょう。