ドジョウはウナギに負けないほど滋養があります。
古くから庶民的な食材として親しまれてきました。
代表的な料理はドジョウ鍋ですが、これは暑気を払う夏の鍋料理です。
汗をかきながらふうふういって食べると精がつきます。
ドジョウはゴボウと相性がよく笹掛にしたゴボウと一緒に割下で煮ます。
卵でとじるものを柳川鍋、とじないものをどぜう鍋といいます。
またドジョウを開かずに丸ごと煮るものを丸鍋といいます。
柳川鍋の名前の由来はわかっていませんが、
最初に考案した江戸の料理店の屋号だという説が有力です。
また「どぜう」という表記は江戸の駒形の老舗が考えました。
旧仮名遣いでは「どぢやう」が正しい表記ですが、
四文字では縁起が悪いことから三文字にしたそうです。
以来他の店でも「どぜう」を名乗るようになりました。
昔はどこの水田にもドジョウが棲んでいたそうですが、
今では天然ものは少なくなりました。
市場に流通しているドジョウはほとんど食用に養殖されたものです。
ときどき魚屋さんの店先で売られているのを見かけることがあります。
生け簀に泳いでいるドジョウは何とも愛嬌があります。
身をくねらせて泳ぐ姿は「踊り子」の異名を持ちます。
とてもかわいそうで簡単には料理できません。
おいしいとはいえ鍋にするには勇気が要ります。
これほど料理の決断力を鈍らせる食材は他にありません。