スッポンは、高級食材として料亭や専門店で扱われます。
甲羅や爪など、食べられない部位もありますが、
ほとんど捨てるところがありません。
生き血も古くから強壮剤として用いられてきました。
そのままではなく、日本酒と混ぜて飲みます。
それでも生臭みが完全に消えるわけではありません。
美味しいかどうかは、人によって意見が分かれます。
スッポン料理といえば、スッポン鍋が定番です。
通称「丸鍋」と呼ばれています。
出汁は取らずに水とスッポンだけで料理します。
土鍋に入れて、高温で一気に焚き上げます。
味つけは、醤油と味醂と日本酒だけです。
それだけで十分に美味しい味が出ます。
鍋の最後にはご飯を入れて雑炊にします。
スッポンの旨みが滲み込んだ逸品です。
丸鍋の他にも、いくつかスッポン料理があります。
煮凝り、湯引き、唐揚げ、網焼き、刺身などです。
スッポンはたいへんコラーゲンに富む食材です。
とくにエンペラはコラーゲンのかたまりです。
エンペラとは甲羅の周りの皮のことです。
煮凝りや湯引きに向いています。
くにゅくにゅした独特の食感が味わえます。
刺身には、身肉だけでなく内臓も使います。
心臓、肝臓、卵、白子などです。
内臓の刺身が美味しいのはスッポンの特徴です。
肝を刺身で食べられるのは嬉しいことです。
スッポンの肝は、魚の肝よりも鶏の肝に似ています。
ハチュウ類ですから鳥類に近いのかもしれません。
もっともハチュウ類の肝を刺身で食べるのは、
スッポンくらいでしょうか。
生臭みがなく上品でふくよかな味わいがあります。