おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

ソウルフードはなぜ魂を揺さぶるのか

ソウルフードは、奴隷制の時代にアメリカで生まれました。

アフリカからやって来た人々の伝統料理のことを指します。

 

ケイジャン料理は代表的なソウルフードです。

主にルイジアナ州で愛されています。

 

地元の食材を使った庶民的で質素な料理ですが、

玉ネギ、ピーマン、セロリは欠かせません。

 

これらを「聖なる三位一体」と呼ぶそうです。

ほぼすべてのケイジャン料理に使われています。

 

ジャンバラヤケイジャン料理を代表する一品です。

香辛料を効かせた炊き込みご飯です。

 

かつてルイジアナ州はスペインに統治されていましたので、

スペイン料理のパエリアが原型ではないかと考えられています。

 

ガンボもケイジャン料理のスープとして知られています。

オクラを煮込んでとろみをつけるのが特徴です。

 

ちなみにオクラはアフリカ原産の野菜です。

アフリカからルイジアナ州に伝わったのでしょう。

 

ガンボは野菜と一緒に地元で獲れる魚介類を使います。

カエルやザリガニやワニを使うこともあるそうです。

 

もちろん「聖なる三位一体」も使われます。

旨みが渾然一体となったスープです。

 

クレオール料理もケイジャン料理と並んで有名です。

やはりルイジアナ州の伝統料理です。

 

ケイジャン料理が庶民的で質素であるのに対して、

クレオール料理は都会的で洗練されています。

 

多様な食文化の影響を受けているのがクレオール料理の特徴です。

ニューオーリンズを中心に親しまれています。

 

しかし、食材や調理方法などケイジャン料理と類似点が多く、

ともにソウルフードであることは変わりません。

 

ソウルフードは単に美味しいだけではありません。

その土地に住む人々が誇りに感じている料理です。

 

郷土への愛情と先人への敬意が美味しさに表れています。

故郷を離れた人々にとっては忘れがたい味わいです。

 

ソウルフードは、まさに魂を揺さぶる料理なのです。

 

ソウルフードという言葉は、現在ではさらに広い意味で使われます。

ある民族や国民にとって欠かすことのできない料理のことです。

 

たとえばイタリア人にとってのパスタ、ドイツ人にとってのソーセージ、

日本人にとっての白米と味噌汁はソウルフードと言えそうです。

 

いずれも、魂を揺さぶる料理です。