おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

初夏にリンゴがやって来る

 

春から夏にかけてリンゴの季節がやって来ます。

というと意外に思われるかもしれません。

 

リンゴは秋に収穫される果実ではないか、と。

その通りです。

 

日本と季節が逆のニュージーランド産のリンゴが、

春から夏にかけて日本にやって来るのです。

 

日本の初夏は、ニュージーランド産のリンゴを

味わえる嬉しい季節です。

 

ニュージーランド産のリンゴは一目でわかります。

日本産のリンゴよりかなり小振りだからです。

 

まるで幼児のように小さくかわいらしいリンゴを

店頭で見かけると、思わず微笑んでしまいます。

 

よくぞ、遠いニュージーランドからはるばる日本まで

来てくれたと褒めてあげたくなります。

 

小振りなリンゴでも、もちろん味と香りは豊かです。

甘味と酸味のバランスも見事です。

 

日本人の味覚に合うように長年改良されてきた品種も

あるという話を以前聞いたことがあります。

 

今では、ジャズやブリーズが代表的な品種ですが、

新しい品種も続々と登場しています。

 

おかげで、すっかり日本に受け入れられています。

ニュージーランドのリンゴ農家に感謝します。

 

もちろん、努力という点では日本のリンゴ農家も

引けを取りません。

 

日本のリンゴは海外にも輸出されていますが、

その品質は世界一とも評価されています。

 

味や香りだけでなく、外見にも気を配っています。

色や形が美しいのは日本のリンゴの特徴です。

 

食べずに飾っておきたいと思えるほど美しく、

形が立派なリンゴもあります。

 

そのせいかどうかわかりませんが、日本では、

あまりリンゴを丸かじりしません。

 

たいていはリンゴの皮をむいて「くし型」に切り、

フォークを使って上品に食べます。

 

一方、ニュージーランドを含めた欧米諸国では、

豪快に丸かじりするのが主流です。

 

ナイフで薄く切りながら食べることはあっても、

皮をむくことはほとんどありません。

 

小振りなリンゴは丸かじりに適しているので、

そういう食べ方が根づいたのでしょう。

 

あるいは、その逆も考えられるかもしれません。

丸かじりが小振りなリンゴを生んだと。

 

つまり、丸かじりの食文化が根づいている地域で、

小振りなリンゴが栽培されたということです。

 

何だか「ニワトリと卵」のような話ですが、

どちらが先かはっきりわかりません。

 

ただ明確なのは、ニュージーランド産のリンゴが

丸かじりに向いているということです。

 

もちろん大振りのリンゴも丸かじりできますが、

食べ切れないときにちょっと困ります。

 

小振りであれば、食後のデザートにもおやつにも

手軽に丸かじりできます。

 

ニュージーランド産のリンゴのおかげで日本にも

新しい食文化が根づくかもしれません。