
デニッシュペストリーのサクサクした生地はクロワッサンと
たいへんよく似ています。
それもそのはずです。じつはデニッシュペストリーと
クロワッサンは双子の兄弟だからです。
一説によると、クロワッサンはマリー・アントワネットが
フランスに製法を伝えたといわれています。
マリー・アントワネットはオーストリアの王家の出身です。
ルイ16世と結婚してフランス王妃となりました。
そのときオーストリアから多くの宮廷料理人と一緒に、
パン職人もフランスに連れてきました。
とくにパン職人は、当時最高の技術を持ち人気も高かった
デンマークのパン職人だったそうです。
そのため、デニッシュペストリーの生地がフランスに
伝えられてクロワッサンとなりました。
デンマークはヨーロッパ有数の酪農の国ですから、
バターなどの乳製品が豊富です。
バターをたっぷり使ったデニッシュペストリーは、
昔からデンマークのパンの伝統です。
ところで「デニッシュ」とは「デンマーク風の」という意味です。
デンマークではもちろんデニッシュペストリーとは呼びません。
香川県でうどんのことを「讃岐うどん」と呼ばないのと同じです。
言わなくても、うどんは讃岐に決まっているからです。
では、デンマークではデニッシュペストリーは
何と呼ばれているのでしょうか。
じつは「ヴィナーボズ」という名称で呼ばれているそうですが、
面白いことに、これは「ウィーン風の」という意味です。
デンマークでは、デニッシュペストリーの生地は、
ウィーンから持ち込まれたと考えられています。
起きた全国的なパン屋の労働者のストライキです。
パン屋の経営者は、仕方なく外国人労働者を雇いましたが、
その中にはオーストリア出身のパン職人もいました。
彼らがもたらしたウィーン風のペストリーは、瞬く間に
デンマークで人気となりました。
焼き方として定着していきました。
そのせいか、オーストリアではデニッシュペストリーを
「デニッシュの略奪」と呼んでいたそうです。
考えたのかもしれません。
今は「略奪」が取れて、単に「デニッシュ」と呼ぶか、
または「コペンハーゲナー」と呼んでいるそうです。
さすがに「略奪」という名称のペストリーは、
誰も食べたいと思わないはずです。