
昭和時代にこういうクイズがありました。
「ハンドルの値段はいくらか?」
平成と令和の世代には難問かもしれませんが、
答えは180円です。
当時の外国為替レートは固定相場制でした。
1ドルは360円と決まっていました。
ですから、「半ドル」は180円になります。
昭和の世代でなければわからないクイズです。
外国為替は昭和48年から変動相場制に移行し、
為替レートは流動的になりました。
日々の経済の動きに合わせて外国為替市場の円相場が、
刻一刻と変動するようになったのです。
最も円高だったのは平成時代の初期です。
1ドル80円程度まで高騰しました。
その後、1ドル100円から120円の間を推移する
時代がしばらく続きました。
ところが、数年前から円が急落し始めました。
現在は1ドル140円から150円の間です。
円安が進むと、輸入品の値段が上昇します。
それが今の物価高の原因の一つです。
しかし、それでも固定相場制の時代に比べると、
今の輸入品は安価に感じられます。
計算しやすいように、1ドル144円と仮定すると、
1ドル360円は、その2.5倍に当たります。
つまり、固定相場制の時代の輸入品の価格は、
現在の2.5倍も高価だったということです。
ですから、誰もが気軽に輸入品の恩恵を受ける
時代ではありませんでした。
高級ブランデーを飲むのも高級輸入車に乗るのも、
昭和のスター石原裕次郎に限られていました。
ところで、当時は香辛料も高価な輸入品でした。
とくに胡椒は希少でした。
もともと胡椒は西洋料理に使われる香辛料ですが、
ラーメンの普及とともに需要が増えていきました。
胡椒はラーメンになくてはならない香辛料です。
ラーメンの美味しさを引き立ててくれます。
ラーメン用の胡椒は、香りが立ちやすいように、
たいへん細かく挽いてあります。
しかし、香りが立ちやすいようにというのは
表向きの理由であったかもしれません。
本当は、貴重な胡椒の一振りの量を抑えるために、
細かく挽いたとも考えられます。
いずれにしても、それがラーメンの湯気に乗って、
ふわりと舞い上がり、くしゃみを誘発します。
ラーメンは昭和を象徴する食べものですから、
胡椒でくしゃみをする場面も昭和の風物詩です。
昭和の漫画にそうした場面が描かれるのは、
理に適っていると言えます。