
昨年に比べると、今年はサンマが豊漁です。
価格も昨年より手頃です。
嬉しいのは、安価なことばかりではありません。
サンマの身が大きく脂も乗っています。
おかげで今年は美味しいサンマが味わえます。
ただし、あくまで昨年と比べた話です。
ここ数年間はサンマの記録的な不漁が続いています。
3年前の水揚げ量は18,000トンを下回りました。
かつては年間20万トン以上もあったことを考えると、
サンマの不漁は深刻な状況です。
不漁の原因は、乱獲や気候変動などによって、
日本近海の資源量が減少しているからです。
そこで、近年は養殖への期待が高まっていますが、
サンマの養殖は簡単なことではありません。
北太平洋を何千キロも回遊する魚ですから、
並外れた遊泳力を持っています。
のびのびと泳げるような大きな水槽でなければ、
養殖することができません。
そもそも生きた状態で捕獲して移送することすら
難しい魚です。
また、たいへん神経質ですから、水流や水温など、
わずかな生活環境の変化にも影響を受けます。
サンマの飼育には十分な管理体制が必要であり、
当然それだけのコストがかかります。
たとえ養殖に成功しても、採算が取れるかどうか
わかりません。
もしサンマの漁獲量が昔と同じ水準に戻れば、
養殖の必要性はなくなります。
それでも、将来の水産資源の枯渇を見据えて、
サンマの養殖の技術開発が進んでいます。
たとえば、海洋科学館「アクアマリンふくしま」と
水産加工会社が、協力して試験養殖に成功しました。
すでにサンマ1匹100グラムを超える大きさに成長し、
出荷の目安を満たすまでになったそうです。
近い将来、養殖サンマが食卓に並ぶ日が来ることは、
間違いなさそうです。
そうなると、サンマは一年中市場に出回ります。
もう秋の味覚ではなくなるのでしょうか。
佐藤春夫の有名な詩「秋刀魚の歌」に詠われた
秋の抒情性も失われてしまうかもしれません。