おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

田んぼで捕れないのに「田鶏」と呼ばれる中華料理の食材とは何か

 

中華料理は食材の種類が多いことで知られています。

机と椅子以外、四本足のものは何でも食べるそうです。

 

珍しい食材を使うことも少なくありませんが、

「田鶏」と呼ばれる食材もその一つです。

 

正確な中国語の発音はわかりませんが、

「ティエンチー」と読むそうです。

 

田鶏は、田んぼで捕れるわけでもなく、

鶏の一種でもありません。

 

それなのに、なぜ田鶏なのか不思議ですが、

じつは食用のカエルのことです。

 

ややクセがあるものの、味は淡白で脂肪が少なく、

鶏肉のササミに似ているといいます。

 

なるほど「田んぼの鶏」と命名されるのも、

たしかに納得できます。

 

私はまだ田鶏を食べたことがありませんが、

足の部分を唐揚げにすると美味しいそうです。

 

しかし、中華料理以上に多くの食用のカエルを

使うのはフランス料理です。

 

揚げものばかりでなく、ソテーやグリルやマリネや

煮込み料理にも使われます。

 

よく使われるのは「ヨーロッパトノサマガエル」です。

フランス語で「グルヌイユ・ヴェール」といいます。

 

「緑のカエル」という意味であり、

「トノサマ」とは無関係の名前です。

 

近年はフランス国内で生息数が激減しているため、

ウシガエル」などを輸入しています。

 

ウシガエルは「食用ガエル」の異名を持つほど、

体の大きなアメリカ原産のカエルです。

 

日本でも、大正時代にアメリカから食用として

ウシガエルを輸入したことがあります。

 

政府が盛んに奨励して日本各地で養殖されましたが、

結局、食用として定着することはありませんでした。

 

現在では、野生化したウシガエルが生態系を乱し、

国内の在来種を脅かす存在になっています。

 

ちなみに、ウシガエルのエサとして輸入された

アメリカザリガニ」も厄介な生きものです。

 

まるで地球を侵略するバルタン星人のように、

淡水域の生態系に悪影響を及ぼしています。

 

生態系を守りつつ、持続可能に食料を確保するのは

本当に難しいことです。