おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

昔はいくらでも田んぼで捕れた美味しい食材 その3 イナゴ

 

田んぼから姿を消してしまった生き物は、

ドジョウやタニシだけではありません。

 

稲刈りの季節に田んぼでよく見かけたイナゴも、

今は少なくなりました。

 

イナゴは稲の害虫ですが、貴重なタンパク源でもあり、

昔から食用とされてきました。

 

佃煮にして食べる風習は全国各地に見られました。

現在でも観光地の土産店で売られています。

 

しかし物珍しさに観光客が買うことはあっても、

一般的な惣菜ではありません。

 

見た目がイナゴの姿そのままですから、

たしかに抵抗感があるのかもしれません。

 

しかし、味と食感は魚介類の佃煮に近く、

海産物の少ない内陸部では貴重な料理です    。

 

私も子どもの頃は日常的に食べていました。

佃煮の作り方も教わりました。

 

まずイナゴを数日間籠に入れて絶食させ、

体内の排泄物を出します。

 

その後水洗いしてから大きな鍋で炒ります。

舌触りに悪い翅や脚は取り除きます。

 

醤油と砂糖で甘辛く煮込みます。

独特の良い香りがします。

 

しかし今ではイナゴを捕る機会がありません。

佃煮の作り方を知っていても作れません。

 

ところで、虫を食べるなんてゲテ物食いだと

思われるかもしれません。

 

しかし昆虫食は今や世界中で注目されています。

将来の食料不足を解決する有効な手段です。

 

たとえば食用コオロギを粉末にして小麦粉に混ぜ、

クッキーやパンケーキが作られています。

 

昆虫の姿をしていなければ、一般的な食品として

受け入れやすいのではないでしょうか。

 

しかも昆虫の飼育は、牛肉や豚肉を生産するよりも

環境にも優しいそうです。

 

食用イナゴを養殖しているところもあるそうです。

イナゴの価値が見直されることを願っています。