
田んぼから姿を消してしまった生き物は、
ドジョウやタニシだけではありません。
稲刈りの季節に田んぼでよく見かけたイナゴも、
今は少なくなりました。
イナゴは稲の害虫ですが、貴重なタンパク源でもあり、
昔から食用とされてきました。
佃煮にして食べる風習は全国各地に見られました。
現在でも観光地の土産店で売られています。
しかし物珍しさに観光客が買うことはあっても、
一般的な惣菜ではありません。
見た目がイナゴの姿そのままですから、
たしかに抵抗感があるのかもしれません。
しかし、味と食感は魚介類の佃煮に近く、
海産物の少ない内陸部では貴重な料理です 。
私も子どもの頃は日常的に食べていました。
佃煮の作り方も教わりました。
まずイナゴを数日間籠に入れて絶食させ、
体内の排泄物を出します。
その後水洗いしてから大きな鍋で炒ります。
舌触りに悪い翅や脚は取り除きます。
醤油と砂糖で甘辛く煮込みます。
独特の良い香りがします。
しかし今ではイナゴを捕る機会がありません。
佃煮の作り方を知っていても作れません。
ところで、虫を食べるなんてゲテ物食いだと
思われるかもしれません。
しかし昆虫食は今や世界中で注目されています。
将来の食料不足を解決する有効な手段です。
たとえば食用コオロギを粉末にして小麦粉に混ぜ、
クッキーやパンケーキが作られています。
昆虫の姿をしていなければ、一般的な食品として
受け入れやすいのではないでしょうか。
しかも昆虫の飼育は、牛肉や豚肉を生産するよりも
環境にも優しいそうです。
食用イナゴを養殖しているところもあるそうです。
イナゴの価値が見直されることを願っています。