おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

米の歴史から姿を消したササニシキ

 

かつてササニシキは、コシヒカリと並び、

米の二大ブランドとされていました。

 

ササニシキは昭和30年代に宮城県で生まれた

宮城県を代表する銘柄米です。

 

コシヒカリが「西の横綱」であるのに対して、

ササニシキは「東の横綱」と呼ばれました。

 

ササニシキの特徴は、食感が柔らかいことです。

口の中で心地よくほどけて香りが広がります。

 

あっさりとした淡白な味わいがあるので、

副菜の美味しさを引き立ててくれます。

 

また粘り気が少なく、寿司酢を混ぜても

さらりとしてべたべたしません。

 

そのため、寿司や和食に適していると評価され、

寿司店や料亭で使われました。

 

ところが、平成になった頃からササニシキ

忽然と姿を消してしまいました。

 

コシヒカリと人気を二分していたササニシキ

なぜ消えてしまったのでしょうか。

 

その理由の一つは、米に対する日本人の嗜好が

大きく変化したことです。

 

食生活が多様化する中で、昭和の頃に比べると

平成の米の消費量は減少しました。

 

少し食べるだけでも満足感を得られるような米が

求められるようになりました。

 

そのため、あっさりしたササニシキは敬遠され、

もちもちとした食感のコシヒカリが好まれました。

 

もう一つの理由は、ササニシキが寒さに弱く、

しかも茎が細いために倒れやすいことです。

 

つまり、冷害にも台風にも被害を受けやすく、

栽培に手がかかる割に収穫が少ないのです。

 

平成の米騒動を引き起こした平成5年の冷害では

ササニシキが大きな打撃を受けました。

 

それ以来、農家のササニシキ離れが加速して、

他の品種への転換が進みました。

 

今では「ひとめぼれ」がコシヒカリに次ぐ

第二位の品種になっています。

 

しかし、ササニシキが全くなくなったのかというと

そんなことはありません。

 

寿司店や料亭では、相変わらず根強い人気があり、

農家と契約して専門に栽培してもらう店もあります。

 

生産量こそ少ないのですが、その希少性がかえって

価値を生み出し、市場では高値で取引されています。

 

幻の米となったことでササニシキの人気が高まるのは、

何だか皮肉な感じがします。