おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

アンデスで栽培されていないアンデスメロン

 

メロンはインド原産のウリ科の果実です。

世界中で愛されています。

 

初期のメロンは甘くなかったそうですが、

昔から品種改良が行われてきました。

 

そのため、メロンの種類はたいへん多く、

価格の差が大きいのも特徴です。

 

たとえば夕張メロンは代表的な高級メロンです。

毎年、初セリでは数百万円の値がつきます。

 

それならば夕張メロンの種を植えて栽培しようと

考える人もいるかもしれません。

 

しかし夕張メロンの種から同じメロンは育ちません。

異なる種類の両親から生まれた一代交配種だからです。

 

夕張メロンのお母さんは「アールスフェボリット」です。

「伯爵のお気に入り」という意味です。

 

19世紀末にイギリスで生まれました。

甘みの強い青肉系の網メロンです。

 

日本では「マスクメロン」として知られ、

高級メロンの定番となってきました。

 

しかし病気に弱く、栽培が難しい欠点があります。

通常は温室内で徹底管理して育てられます。

 

その「アールスフェボリット」の良さを生かして

栽培しやすく改良した品種があります。

 

それが「アンデスメロン」です。

昭和期に日本で生まれました。

 

見た目も味もマスクメロンに似ていますが、

マスクメロンよりもずっと低価格です。

 

栽培しやすい品種なので、生産者にとっては、

「作って安心」なメロンです。

 

手頃な価格で販売できるので、流通業者にとっては、

「売って安心」なメロンです。

 

甘くて美味しいので、消費者にとっては、

「買って安心」なメロンです。

 

三つの安心を実現したメロンということで、

「安心ですメロン」と名づけられました。

 

しかしネーミングにセンスがないという指摘から、

アンデスメロン」と改名されました。

 

ちなみに、南米大陸アンデスとは全く無関係です。

アンデスアンデスメロンは栽培されていません。

 

国内では主に、茨城、熊本、山形で生産されています。

三大産地として協力してキャンペーンをしています。

 

近年は赤外線センサーで糖度をチェックしているので、

生産地が違っても糖度にばらつきはありません。

 

どの産地でも安心して食べることができます。