「100年先に伝えたい世界が愛するスープ料理」は、次の14品を紹介しています。
「ブイヤベース」
「ポトフ」
「ラタトゥイユ」
「トムヤムクン」
「コンソメスープ」
「クラムチャウダー」
「ヴィシソワーズ」
「ガスパチョ」
「ポタージュ」
「オニオングラタンスープ」
「カポナータ」
「ボルシチ」
「アクアパッツァ」
「ミネストローネ」
世界の国々にはさまざまな料理がありますが、スープ料理のない国はありません。人類が土鍋という料理器具を発明したときから、スープ料理は存在しています。かなり古い時代から料理技術として確立されていたと考えられます。
古代のスープ料理は、純粋にスープだけを味わう洗練された料理ではなく、汁も具材も一緒に食べる「ごった煮」のような料理だったのではないでしょうか。肉や野菜を煮込んだスープには、それぞれの具材の旨みが溶け込んでいます。複雑に混ざり合った美味しさを味わうことができるのがスープ料理の魅力です。
中世ヨーロッパのスープ料理の歴史は、パンと密接な関係があります。毎日焼きたての香ばしいパンを食べることができたのは、一部の身分の高い人々だけでした。一般の人々は、村の共同のかまどを使ってまとめて焼いたパンを、何日もかけて少しずつ食べていました。当然、日が経つにつれてパンは硬くなってしまいます。
しかも、ドイツや北欧などの寒冷な地域では、小麦を使った柔らかい白パンではなく、ライ麦を使った硬い黒パンを食べていました。それを柔らかく美味しく食べるために工夫されたのがスープ料理でした。スープにパンを浸して柔らかくして食べていたのです。現在でも、スープにバケットを添えたりガーリックトーストを添えたりクルトンを浮かべるのはその名残です。
ラテン語の流れを汲むイタリア語では、パンをスープに浸すことを「ズッパーレ」といいますが、それを語源として、イタリア語の「ズッパ」、フランス語の「スプ」、スペイン語の「ソパ」、ドイツ語の「ズッペ」、英語の「スープ」などが生まれたことは間違いありません。スープ料理はパンを浸して食べるための料理ですから、ヨーロッパ言語では、スープを「飲む」とはいいません。スープは「食べる」料理なのです。