おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

100年先に伝えたい世界が愛するアジア料理

「100年先に伝えたい世界が愛するアジア料理」は、次の12品を紹介しています。

 

韓国料理

「キムチ」

「ナムル」

「ビビンバ」

「焼肉」

「参鶏湯」

 

タイ料理

「タイカレー」

トムヤムクン

 

台湾料理

「焼きビーフン」

 

インドネシア料理

ナシゴレン

 

ベトナム料理

「生春巻き」

「フォー」

 

インド料理

「タンドリーチキン」

 

 ひと口にアジア料理といっても、アジアは広大な地域ですから、東と西では全く料理が異なっています。古来、東アジアの食文化の中心となってきたのは中国料理です。日本や朝鮮半島や東南アジアの食文化にも大きな影響を与えました。中国料理については、すでに「100年先に伝えたい日本が愛する中華料理」で詳しく述べていますので、今回は中国料理以外のアジア料理を紹介します。

 東南アジアの料理は、中国からもインドからも影響を受けていますが、大航海時代になってからはヨーロッパ諸国の料理や食材も伝わりました。それらを融合した独自の食文化が築かれてきました。

 一般に東南アジアの料理には香草や香辛料が多用されますが、必ずしも全ての料理が辛いわけではありません。たしかにタイやインドネシアにはたいへん辛い料理もありますが、フィリピンやベトナムの料理は、どちらかというと穏やかです。むしろ素材の持ち味を活かした料理が多くあります。

 東南アジアと南アジアの料理に共通しているのは、インディカ米を使った米料理があることです。日本で食べられているもっちりしたジャポニカ米と違って、インディカ米は炊き上がりがさらさらしています。ナシゴレンのように炒めたり、タイカレーのようにルーをかけたりする料理に適しています。

 南アジアの料理は、インド料理に代表されますが、菜食主義者の多いインドでは肉料理があまり食べられません。とくにヒンドゥー教では、牛を聖なる動物として崇めているので、インドで牛肉料理が食べられることはまずありません。その代わり、豆類や乳製品をたっぷり使った料理からタンパク質を摂取しています。

 中央アジアから西アジアにかけた乾燥地域では稲が成育しにくいので、昔から小麦を主食としてきました。小麦粉の生地を焼いたナンやチャパティのような料理もありますが、中国の拉麵によく似たラグマンや、同じく中国の饅頭(まんとう)によく似たマンティと呼ばれる小麦粉料理があります。おそらくシルクロードを通じて東西アジアの食文化の交流があったと考えられます。

 中央アジア西アジアには多くのイスラム教徒が暮らしているので、豚肉料理はほとんど見られません。歴史的に遊牧民族が多い地域ですから、羊や山羊を使った肉料理が食べられてきました。羊や山羊の乳から作られる乳製品も好まれています。また、乾燥した地域に育つナツメヤシの実はデーツと呼ばれ、甘みの強いドライフルーツとして愛されています。

 西アジアの中で最も食文化が栄えた国はトルコです。トルコ料理は、フランス料理と中国料理に並ぶ「世界三大料理」の一つに数えられています。トルコは地域的にはアジアというよりヨーロッパに近い国です。かつて東ローマ帝国の中心地であり、古代ローマ時代の食文化を継承しています。また、繁栄を極めたオスマン帝国の中心地として、豪華絢爛な宮廷料理が発達しました。東ヨーロッパ、西アジア北アフリカの料理の集大成がトルコ料理となりました。

 アジア料理の中で日本人に馴染みが深いのは、中国料理と韓国料理と東南アジア料理です。とくに東南アジア料理は、エスニック料理の一つとして近年は日本国内でも人気が高まっています。今までに味わったことのない新しい料理の美味しさを発見できることは大きな喜びです。

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