おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

神戸牛から生まれた伝説の名選手の名前

アメリカのプロバスケットボールでは往年の名選手たちが、

数々の伝説を残してきました。

 

たとえば、マイケル・ジョーダンマジック・ジョンソン

アブドゥル・ジャバー、シャキール・オニールなどです。

 

コービー・ブライアントもその一人ですが、彼の名前が、

神戸牛に由来するという話はよく知られています。

 

Kobeと表記してコービーと発音します。

 

コービー・ブライアントの父が神戸牛のステーキを食べたときに、

あまりの美味しさに感動して名づけたと伝えられています。

 

神戸牛とは、兵庫県で生産された但馬牛のうち、

一定の基準を満たした牛肉のことをいいます。

 

江戸時代の末期に神戸にやって来たヨーロッパ人が、

その味を絶賛したことから知られるようになりました。

 

日本が開国してからは、横浜に居住する外国人ために、

わざわざ神戸港から横浜港に輸送していました。

 

明治時代になって初代兵庫県知事に就任した伊藤博文公も、

神戸牛を好んで食べていたそうです。

 

伊藤博文公はイギリスに留学した経験があるので、

牛肉の美味しさをよく知っていたのかもしれません。

 

ところで、江戸時代まで日本人は獣肉食を忌避していましたが、

なぜ開国前の神戸に牛肉があったのでしょうか。

 

それは、もともと但馬牛が食用として飼われていたわけではなく、

役牛として飼われていたからです。

 

田畑を耕したり、荷物を運んだりする労役用の牛のことです。

但馬牛は体が小型の割には力が強く、従順で働き者の役牛です。

 

すでに平安時代には但馬で盛んに飼育されていたそうですから、

おそらく平安貴族が乗った牛車も牽いていたと考えられます。

 

今は食用としてもたいへん品質が優れていることが評価され、

神戸ビーフというブランドが世界的に知られています。

 

コービー・ブライアントの躍動感あふれる力強いプレーは、

神戸ビーフにも劣らない一級品です。

 

コービーという名前は、まさに彼にふさわしい名前です。