ナス科の植物はアメリカ大陸に多く分布しています。
人間にとって有用な野菜が多いのが特徴です。
ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、トウガラシなどは
すべてナス科の植物です。
全世界に広まっていった野菜たちです。
おかげで世界中の食文化が豊かになりましたが、
ナス科の植物の中には有害なものもあります。
たとえばタバコがそうです。
有害なニコチンを含んでいます。
タバコは、もともとアメリカ大陸の先住民たちが、
害虫や害獣を駆除するために利用していました。
とくにガラガラヘビはタバコの煙を嫌うそうです。
住居を煙でいぶすことで侵入を防ぐことができます。
しかし、タバコの煙を直接吸うようになりました。
それによって多くの人命が奪われました。
人間にとって好ましくないナス科の植物です。
チョウセンアサガオも有毒植物です。
アルカノイドという毒性を含んでいます。
誤って食べてしまうと、極度の興奮状態になり、
精神攪乱を引き起こす危険性があります。
しかし、古くから鎮痙の薬草として使われてきました。
華岡青洲が麻酔薬を作った植物としても知られています。
花も美しく、観賞用として親しまれています。
トランペットエンジェルは近種の花です。
食用としない限り中毒を起こすことはないのですが、
じつはナス科特有の問題があります。
ナスは連作障害を起こしやすい作物です。
何年も同じ畑で栽培することができません。
少なくとも3年以上ナス科の植物を栽培していない畑に
ナスを植えなければならないのです。
そこで効率よく収穫するために「接ぎ木」をします。
すでに植えてあるナス科の植物を利用するのです。
ナス科の植物を「台木」としてナスを接ぎ木します。
すると成長してナスがたわわに実ります。
ナス科の植物であればナスを接ぎ木できるので、
チョウセンアサガオでもナスを収穫できます。
ところが、チョウセンアサガオにナスを接ぎ木すると
ナスが有毒化します。
実際に、そうしたナスを食べて極度の中毒症状を
引き起こした事例がいくつか報告されています。
美味しそうなナスに見えても外見では判断できません。
食べてよいナスと悪いナスがあるのです。