おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

国内産のアサリはなぜ少なくなってしまったのか

国内産のアサリが市場から姿を消しました。

現在出回っているのは、ほとんど外国産です。

 

急に国内産が姿を消してしまった理由は、

数年前に発覚した産地偽装問題です。

 

長年の慣習として、外国から輸入したアサリを

国内産と偽って出荷していたのです。

 

その割合は九割にも及ぶというから驚きです。

 

ですから、国内産が少なくなってしまったわけではなく、

もともと国産内でないことがわかったということです。

 

山地偽装の背景には、二つの要因があります。

一つは「長いところルール」です。

 

二か所以上で育成されたアサリについては、

生育期間の長い方を産地として明記できます。

 

そのため外国から稚貝を輸入して国内で長期生育すれば、

国内産として出荷しても問題はありません。

 

それが偽装しやすい状況を生み出しています。

 

二つ目は、国内のアサリの個体数が激減していることです。

最盛期の一割にまで落ち込んでいます。

 

理由は、温暖化や水質悪化などの環境の変化や、

埋め立てによる生息域の減少などが挙げられます。

 

天敵による食害も増えています。

外来種の脅威も深刻になっています。

 

国内のアサリを殖やすことは簡単なことではありません。

産地偽装を防止するだけでは解決できません。

 

もちろん産地を偽ることは許されませんが、

国内産に固執し過ぎる姿勢も見直すべきです。

 

アサリに限らず、外国産の海産物でも品質がよく、

美味しいものがたくさんあります。

 

もう少し外国産に寛容であってもよいと思います。