鰻の蒲焼きや焼き鳥などの炭火焼きを提供する店では、
「備長炭使用」を掲げているところが見られます。
そもそも備長炭とは何でしょうか。
備長炭は良質の木炭として知られていますが、
紀州の商人、備中屋長左衛門が販売を始めたので
その名を取って備長炭と名づけられました。
やがてその製法は、土佐をはじめ各地に伝わります。
土佐で作られたものは土佐備長炭と呼ばれます。
備長炭の原料にはウバメガシという木を使っています。
人里近くに生える成長の早い木です。
硬質で火持ちがよいので、木材としても優れていますが、
木炭としても、その性質を受け継いでいます。
そのため備長炭は、高温で長時間の燃焼が可能です。
また煙が少なく、料理に雑味がつかないのも特徴です。
燃焼すると遠赤外線を発するので、食材の中まで火が通り、
外はパリッと、中はふっくらと仕上がります。
鰻の蒲焼きや焼き鳥を備長炭で焼いていると、
タレが滴り落ちて、ジュワっと燃えます。
その香りが食材を包み込み、香ばしさを生み出します。
備長炭で焼いた料理が美味しいのはそのためです。