おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

美味しいけれど海の厄介者とは何か

ウニは古くから食用とされてきました。

独特の磯の香りと旨みが特徴です。

 

昔は保存用に塩漬けにしていましたが、

現在は生のウニが流通しています。

 

食べるのは、ウニの卵巣と精巣の部位だけです。

意外と可食部分が少ない食材です。

 

そのため高級食材として扱われることもあり、

寿司の軍艦巻きや海鮮丼などに使われます。

 

また最近では、ウニを使ったパスタ料理や

ウニのアイスクリームもあります。

 

たいへん美味しい海の幸なのですが、

ここ10年の間に異変が起きています。

 

日本近海でウニが大量発生しているのです。

 

その原因について詳しいことはわかっていませんが、

地球温暖化や異常気象が原因ともいわれています。

 

高級食材のウニが増えるのは喜ばしいことではないかと

思われるかもしれませんが、被害は甚大です。

 

ウニが海藻を食べ尽くして海の生態系を破壊しているのです。

 

海藻群は多くの海洋生物にとって生息の場であり、産卵の場です。

海藻がなくなることで生物多様性が失われてしまいます。

 

また太陽の光が海底まで届き、さらに「磯焼け」を引き起こします。

 

ウニ同士も個体数が増えることでエサの奪い合いになります。

一つの個体が十分に成長することができません。

 

身の小さなウニは商品価値がなく、駆除の対象になっています。

今では海の幸ではなく、海の厄介者なのです。

 

もちろん各地の水産業者も対策に乗り出しています。

豊かな海を取り戻すために懸命に努力しています。

 

ウニの養殖もすでに始まっています。

幸いなことにウニは雑食性です。

 

与えられるエサは何でも食べるそうです。

廃棄野菜をエサに利用できるかもしれません。

 

まだまだ水産業者の試行錯誤は続いていますが、

美味しいウニが成長することを期待します。