夏はビールの季節です。
よく冷えたビールは何よりです。
ビールのおつまみといえばもちろん枝豆です。
切っても切れない相思相愛の仲です。
枝豆は大豆を未熟なうちに収穫したものです。
さやごと塩茹でして食べます。
ビールの本場ドイツではどうでしょうか。
やはり枝豆をおつまみにするのでしょうか。
どうもそうではないようです。
ドイツでは枝豆があまり知られていません。
それは一体なぜでしょうか。
ヨーロッパに大豆が伝わったのは意外と遅く、
18世紀になってからのことです。
大豆を英語で「ソイビーンズ」といいますが、
ソイは日本語の醤油の発音が転訛した言葉です。
じつは大豆は日本からヨーロッパに伝わりましたが、
ヨーロッパに大豆は定着しませんでした。
その理由は、すでにヨーロッパにはインゲン豆やエンドウ豆など、
多くの豆の種類が存在していたからです。
また、ヨーロッパの土壌に「根粒菌」が少なかったからです。
空気中の窒素からアンモニアを生成する土壌の細菌です。
ようやく20世紀になって「ハーバー・ボッシュ法」が確立して、
アンモニアを人工的に作ることができるようになりました。
そのおかげで、化学肥料が大量に生産されるようになり、
大豆は世界各地で栽培できるようになりました。
しかし、大豆の多くは食用ではありません。
家畜の飼料や大豆油の生産に利用されています。
日本では、味噌や醤油や豆腐の原料となる大切な穀物ですが、
ヨーロッパでは食糧としてそれほど重視されていません。
加工された大豆食品は別として、大豆は家畜の飼料であり、
人間が食べるものではないと考えているのかもしれません。
そのため枝豆をビールのおつまみとはしません。
その代わり、ドイツには美味しいジャガイモ料理があります。
ソーセージがあります。ビールのおつまみに困りません。
というより、たとえおつまみがなくても
ビールさえあればドイツ人は幸せです。
では、有名なドイツ人ジョークを一つ。
もしビールのグラスに虫が入ったらどうするか。
礼儀正しいイギリス人は、ウェイターを呼んで
グラスを替えてもらいます。
訴訟好きなアメリカ人は、弁護士を呼んで
店を訴えます。
細かいことを気にしないイタリア人は、
虫を取ってそのまま飲み続けます。
ビール好きのドイツ人は、
取った虫をすすってから捨てます。