ずんだ餅は仙台名物の餅菓子です。
若草色の美しい餡が特徴です。
ずんだ餅の餡は枝豆で作られます。
鮮やかな若草色は枝豆の色です。
枝豆を完全につぶしてしまうのではなく、
つぶつぶの食感を残しています。
「ずんだ」とは、やや変わった名称ですが、
豆打(ずだ)から転じたと考えられます。
文字通り、豆を打つという意味です。
真偽はわかりませんが、枝豆の栽培を
伊達政宗が奨励してことは史実です。
伊達政宗はさまざまな産業を振興して
仙台藩62万石を築き上げました。
農産物の生産向上にも積極的に取り組み、
田のあぜ道に大豆を植えさせました。
大豆は秋になると、熟して黄色の豆を実らせますが、
まだ未熟なうちにさやごと収穫するのが枝豆です。
枝豆を使ってずんだ餅を作るようになった理由は、
二つあると私は考えます。
一つは、「おはぎ」の代用として作られたことです。
東北地方の一部では、お彼岸だけでなく、
お盆にもおはぎを供える地域があります。
しかし、農家にとってお盆は多忙な時期です。
ことこと小豆を煮るのは大きな負担です。
その点、枝豆は短時間ですぐに茹で上がります。
小豆のように一晩水に浸す必要もありません。
もう一つの理由は、枝豆にほのかな甘みがあることです。
高価な砂糖をたくさん使わずに済みます。
むしろ塩味の方が美味しく感じられます。
ビールのおつまみの枝豆がそうです。
初期のずんだ餅はもしかしたら塩味だったかもしれません。
もちろん私の勝手な推測ですが。
いずれにしても、伊達政宗のおかげで
ずんだ餅は広まったようです。