アフロヘアにメガネをかけた中年の男性です。
なぜかいつもラーメンを食べています。
初めは「オバケのQ太郎」によく出ていましたが、
藤子不二雄の漫画を支える個性的な存在です。
その小池さんには実在のモデルがいますが、
本名は小池さんではなく、鈴木さんです。
鈴木さんが小池さんの家に下宿していたために
小池さんと誤解されたそうです。
それ以来、鈴木さんは小池さんとして描かれています。
何だか、ややこしい話です。
ところで、小池さんはなぜいつもラーメンを食べているのでしょうか。
藤子不二雄は若い頃、「トキワ壮」に住んでいました。
かつて東京豊島区にあった木造二階建てのアパートです。
昭和の漫画を代表する手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、
著名な漫画家たちが住んでいたことで知られています。
今はもう解体されて存在していませんが、
ファンの間では漫画の聖地となっています。
そのトキワ壮の近くに中華料理店がありました。
というより、今でもあります。
藤子不二雄をはじめ、トキワ壮に住む漫画家たちは、
その店からよく出前を取っていました。
藤子不二雄は二人ともラーメンが大好きだったそうですが、
小池さんも二人に負けないほど大のラーメン好きでした。
食べている姿がよほどおいしそうに見えたのでしょうか。
小池さんが藤子不二雄の漫画にデビューします。
小池さんは、とくに物語に重大な影響を与えるわけではありませんが、
話と話の隙間を埋め、話の進行を円滑にする役を担います。
昭和の漫画には、こうしたちょっとした「つなぎ役」は重要です。
赤塚不二夫の「レレレのおじさん」がそのよい例です。
いつも理由もなく竹箒で道を掃きながら
「おでかけですか。レレレのレ」と声をかけます。
同じように、いつも理由もなくラーメンを食べる姿を見ることで
読者は安心感を得ることができるのです。
ただし、それほど期待度が高いキャラクターではありません。
「ドラえもん」のしずかちゃんとは期待度が全然違います。
しずかちゃんの入浴の場面がなくて残念がる読者はいるかもしれませんが、
小池さんのラーメンの場面がなくて残念がる読者はあまりいません。