トムとジェリーはアメリカのテレビアニメーション番組です。
日本では1960年代に放送が始まりました。
ネコのトムはお調子者で、いつもジェリーを追いかけ回します。
ネズミのジェリーは賢くて、簡単にトムには捕まりません。
ときにはトムがジェリーにやり込められることもありますが、
なぜか最後は円満に仲直りすることもあります。
トムはジェリーをおびき出すためにチーズを使います。
チーズはジェリーの大好物だからです。
番組で描かれているチーズにはいくつもの穴が空いています。
スイスのエメンタールチーズです。
じつは、アニメや漫画でチーズを表現するのは難しく、
石鹸に見られてしまうことがあるそうです。
チーズと石鹸を間違えるというシーンがありました。
パンにはさんで食べようとしたらそれは石鹸で、
手を洗おうとしたらチーズだったというオチです。
そこで、石鹸ではなくチーズであることを示すために、
特徴があるエメンタールチーズが選ばれました。
エメンタールチーズの空洞はチーズアイと呼ばれています。
石鹸に空洞はなく、間違えられることはありません。
スイスチーズと呼ばれています。
トムとジェリーに繰り返して登場したおかげで、
その一方で、エメンタールチーズに穴が開いているのは、
ネズミにかじられたせいだと勘違いされたそうです。
実際に、ネズミはほとんど乳製品を好むことがなく、
チーズを与えてもあまり食べないそうです。
では、なぜエメンタールチーズに穴が開いているのでしょうか。
プロピオン酸菌の発酵の過程で生じた二酸化炭素の気泡が、
チーズの中に閉じ込められたというのが定説です。
しかし、他のチーズは二酸化炭素を発生しないのでしょうか。
なぜエメンタールチーズだけ空洞が生じるのでしょうか。
エメンタールチーズはたいへん大きなチーズです。
一つの塊が100キログラムにもなります。
約1.000リットルもの牛乳を使って作るために、
内部で発生する二酸化炭素の気泡も多量です。
外部に逃れる前にチーズ内に閉じ込められてしまい、
結びついて大きな空洞を作ると考えられます。
エメンタールチーズは「チーズの王様」と呼ばれています。
まるで木の実のような芳香があります。
口当たりは優しく、上品で穏やかな風味を持ちます。
ジェリーが大好きになるのも無理はありません。