近年、スルメイカ、サンマ、サバ、イカナゴが記録的な不漁です。
水産資源が枯渇しないように保護することは大切なことです。
魚を獲り過ぎないように制限することも重要ですが、
獲った魚を無駄にしないことも必要です。
水揚げされた魚が全て市場に出るわけではありません。
残念ながら廃棄処分されてしまう魚も多いそうです。
食材としての価値が低く、市場に出しても値がつかないからです。
食べられるのに捨てられるのはもったいない限りです。
食べたことのない魚を敬遠したい気持ちもわかりますが、
知らない魚に対してもっと寛容でもよいと思います。
特定の魚ばかり珍重すると絶滅の危機に追いやってしまいます。
たとえばクロマグロや二ホンウナギがよい例です。
多種多様な魚をバランスよく消費することは大切です。
持続可能な水産資源の保護にもつながります。
名前が知られていなくても美味しい魚はたくさんあります。
その一つが「メルルーサ」です。
タラに近い白身魚で、クセのない淡白な味が特徴です。
身崩れしにくく、タラよりも身が締まっています。
また、骨が少なくて調理しやすいのも利点です。
切り身はほとんどがフライに使われています。
イギリス名物「フィッシュ・アンド・チップス」にも使われます。
ファーストフードの「フィッシュバーガー」もそうです。
「タラのフライ」や「メカジキのフライ」のように魚の名を示さず、
価格が比較的安く、流通量も安定していることから
学校給食でも人気のメニューとなっています。
名前は知られていなくても、身近な美味しい食材として
すでに私たちの食生活に広く受け入れられています。
では、なぜメルルーサという本名を名乗らないのでしょうか。
おそらく名前がやや厳めしいからではないでしょうか。
消費者に親しまれないと思われたのかもしれません。
おしゃれでクールな名前だと思います。
アニメのキャラクターの名前のようにカッコよくもあり、
人気ロックバンドの名前のようにも聞こえます。
ただし、美味しそうな名前かどうかは何とも言えません。
もちろん、人それぞれに感じ方は違いますが。
以前は「シロムツ」という和名で呼ばれたこともありましたが、
ムツ科の魚と混同するので使われなくなったそうです。
正式な和名として「ヒタチダラ」と命名されているそうですが、
その名前で呼ばれるのをほとんど聞いたことがありません。
これだけ日本の食文化に貢献しているのですから
堂々と名乗ってほしいと思います。