おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

五目豆の五目とは何か

私はよく五目豆を作ります。

大豆と根菜類を煮た料理です。

 

決して華やかな主菜ではありませんが、

穏やかで素朴な味わいが魅力です。

 

食卓にあるとなぜかほっとする副菜です。

お弁当のおかずにも重宝します。

 

ところで五目豆の五目とは何でしょうか。

 

五目とは五品目のことを意味しますが、

必ず五つというわけではありません。

 

材料の数が多いことを表す言葉ですから

六品目でも七品目でも構いません。

 

五目御飯、五目そば、五目寿司などもそうです。

具沢山の料理はたいてい五目と呼ばれます。

 

では、五目豆には何を使うのでしょうか。

 

地域や家庭によって材料はさまざまですが、

言うまでもなく、大豆は必ず入ります。

 

昆布、椎茸、人参、牛蒡、蒟蒻は定番です。

蓮根、筍が入ることもあります。

 

大豆は前の晩から水に浸しておきます。

 

このとき昆布と干し椎茸も一緒に入れます。

美味しい出汁が取れるからです。

 

大豆がたっぷり水を吸ったら昆布と干し椎茸を取り出します。

鍋を火にかけて弱火でことこと大豆を煮ます。

 

干し椎茸、人参、牛蒡、蒟蒻を小さく切って鍋に入れます。

昆布は煮崩れしないように最後に入れます。

 

アクを取りながら醤油、砂糖、味醂、日本酒で味を調えます。

大豆が柔らかく煮えたら出来上がりです。

 

熱々も美味しいのですが、しばらく置いて味を馴染ませます。

その方がしみじみとした優しさが感じられます。